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第37回

そのママの姿を沼澤氏は水晶玉を通して、じっと窺い見た。そうして、目を細めながら何やら呪文のような長文を口にし始めたのである。私が耳をそばだてると、どうも祝詞のりとのようなのだが、どこか違うようにも思えた。兄の沼澤草男氏の手伝いをしていたということだから、たぶんその頃、見よう見真似で習得したのでは…と、想像した。およそ二分弱、その祝詞のような長文は続いたが、それが終わると沼澤氏は細めた目を一端、閉じてしばらく冥想にふけった。固唾かたずを飲んで私が見る中、ふたたびカッ! と目を見開いた沼澤氏は、静かにママを見つめた。

「…玉の申すには、あなたの運気は鳴かず飛ばず、というところで、そう特別な幸せ事もなければ不幸になる心配も当分の間はないということです。早い話、現状維持ですな」

「…はあ?」

 ママは怪訝けげん眼差まなざしで沼澤氏にぽつんと云った。何か眉唾まゆつばっぽいぞ…と私は思った。こんな占い程度なら私にだって出来るさ、と思えたのである。沼澤氏は、なおも続けた。

「いえいえ、こうした運気の現れは素晴らしいことなのですよ。ほとんどの方が負の運気、つまりは、不幸に沈むきざしの運気を持たれておるのです」

「そうなんですの?」

「なんか、面白そう!」

 こうしたことを余り信じない早希ちゃんが、遠い席から割って入った。

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