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第34回

「…別に理由などありません。玉から発せられる霊力により、私がそう感じたまでです」

 分かりよい説明だ…と、私は思った。ただ、玉から発せられる霊力というところは今一、難解だった。

「それで、いつまで店に置いておかれる積もりなんです? 不都合はないのですか?」

「不都合などと…。玉が私の元へ帰りたい、と告げるまでです。それがいつなのかは、私にも分かりません。それまでは度々(たびたび)、寄らせて貰うことになると思いますが、…」

 語尾を暈した沼澤氏は、チビリとマティーニを口へ流した。

「私の方はいっこう構いませんのよ。来られるお客様へのいい話のネタにもなりますし…」

 ママが話に加わった。

「そうそう、云い忘れるところでした。この前、お渡しした小箱の玉ですが、寄られたお方には必ず差し上げて下さい」

「えっ? あっ、はい。そうしますわ。でも、高価なんでしょ? 紫水晶アメジストって。それが…」

「ははは…、気になさらないで下さい。小玉は幾らでもございます。で、あなたは、もう?」

 急に沼澤氏は私を指さした。

「い、いえ、まだ貰ってませんが…」

「なら、ママさん、こちらにおひとつ差し上げて下さい」

「…はい」

 ママは酒棚の隅に置かれた小箱から紫水晶の小玉を一つ取り出し、私に手渡した。

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