第33回
「ありますか…」
そうなんだ、あるんだ…と、諭されたような気分で、訊ねるでなく、思わず私は呟いていた。
「ええ、あるのです。霊力による、そうした稀有な事象が…」
「って、沼澤さん、ママの宝くじもそれ?」
沼澤氏は黙したまま、静かに首を縦に振り、また話し始めた。
「ええ、その一つなんですよ。…まだまだ、これからです。先が楽しみとお思い下さい」
「でも、それってキショくないですかぁ~?」
早希ちゃんは、こういう超常現象的な話を全然、信じていない節がある。だからか、実に云い方が軽い。
「んっ? どういうことでしょう?」
「だからぁ~、そんなことが続けば気持悪くありません?」
「ああ、そういうことですか。…全てがこの玉の放つ霊力なのですよ…」
「信じらんない、そんなの」
「早希ちゃん、まあそう云うなよ。そんなことってあるかも知れない。いえね、沼澤さん。私も不思議な出来事には遭遇したことがあるもんでしてね…」
「ほう、そうでしたか…」
「それで、そんな霊力のある水晶玉をこの店に置こうと思われたのは、そもそも何故です?」
私は、水晶玉の話をママから聞かされた時以来、ずっと抱いていた素朴な疑問を沼澤氏にぶつけていた。