表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
314/317

第314回

ママは水割りのダブルを、注文オーダーしていなかったが、作ってくれた。そのグラスをグビッっと喉へと流し込み、チーズサラミを頬張ったとき、背広の携帯が激しくバイブした。私はおもむろに内ポケットから携帯を取り出して開いた。かかってきた相手は、消えたあの沼澤氏だった。私は急いで携帯のボタンを押した。

「はい! 塩山です! …もしもし!」

 通話は切れていなかったが返事がなかった。しかも、向うに存在するはずの沼澤氏の息遣づかいが聞こえてこない。それどころか、人の気配もしなかった。だが着信は確実にしていた。どう考えても奇妙に思え、気味悪さもあったから、私は通話を切った。

「…だれから?」

 ママが怪訝けげんな顔で私をうかがった。

「いやあ、間違い電話でした…」

「そお…、嫌あねえ~」

 そうして、十分ほどは何もなかった。私は、ママや早希ちゃんと世間話をポツリポツリとしていた。その時、お告げが舞い降りた。

『今の電話は霊界におられる沼澤さんからてす。彼は今、あちらで霊術師をやっおられます。にわかに頼まれましたので、やってきたようなことです』

「ならば、私と直接、お話しされてもいいんじゃないでしょうか」

『それは、いつぞやも申しましたが、霊界の決めで出来ないのですよ。沼澤さんは、そのことに気づかれたのでしょう』

「はあ、だから…」

『はい、そういうことです』

 両者の心話は、むろんママや早希ちゃんには聞こえていない。私は静かにグラスを傾けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ