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303/317

第303回

 ママの声がしなくなったと思ったら、今度は早希ちゃんの声が響き始めた。どうやら、ママが携帯を早希ちゃんへ渡したようだった。

「あっ! 私。おめでとう、満ちゃん。ほんと、すごいわ。私、惚れなおしちゃった」

「またまたまた…、上手いこと云うな、早希ちゃんは。その手は桑名の焼きはまぐりだ」

「ワォ! 満ちゃんこそ上手いじゃない」

「もう…。これくらいで勘弁してくれよ。疲れてんだからさぁ~」

「分かった分かった、ゴメンゴメン。じゃあ切るわね~」

 ママの声も小さく聞こえたところで、早希ちゃんは携帯を切った。早希ちゃんに云ったのは本当で、私はすっかり憔悴しょうすいしきっていた。というのも、TSS免疫ワクチンの一件で忙殺されたことと、今度のノーベル賞決定によるメディアの取り巻きによるものだった。よく考えれば、ノーベル平和賞は、ともかくとして、何の医学知識もない私が医学賞も受賞するのは妙だ…と思えていた。私が玉のお告げをそのまま口にした結果、土壌よりTSS免疫ワクチンが開発されただけのことなのだ。いくらそれによって人類が救われたにせよ、少し騒ぎ過ぎのように思えた。しかも、初めてのダブル受賞ともなれば、これはもう完全に、地球上で私一人が浮き上がった存在になった気分だった。

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