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第284回

「ママ、電話したのが正解!」

「そうね。私だけじゃ、来てくれたかどうかっ、フフッ」

 私がみかんのドアを開け、中へ入ると、二人は、こんな会話を交わしながら私を迎えた。カウンターへ近づくと、ママの電話どおり沼澤氏が置いていった水晶玉は、以前と少しも変わらず、酒棚に飾られて存在した。久々に店へ入ったにもかかわらず、どういう訳か懐かしい…という感覚が少しも私には湧かなかった。よく考えれば、私は、この玉が送った霊力のお告げと時折り交信していたのだ。だから…とは思うが、結果として離れていてもみかんには時折り来ていたようなものだったのだ。それか、懐かしく思わせなかった理由だろう。

「その後、東京はどお?」

「どお、と云われても…。眠気よりはにぎやかです」

「そりゃ、そうでしょうけど…」

 ママにたずねられ、私は深慮もなくつまらない言葉を口走っていた。

「あっ! どうも、すみません。そういう意味じゃなく、眠気のような静けさがない落ちつかない街だ、ということです」

 冷や汗ものであった。オネエのママだけは旋毛つむじをまげられたくなかった。剃り残した顎髭あごひげの化粧顔で、嫌味を云われたくはない。

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