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第266回

「それでは困りますね…」

「はい、困ります。…というよりも、日本国民すべてが、のたれ死にですよ、ははは…。何か、いい手立てはありませんか?」

「私には小難むずかしいことは分かりませんが、民間会社なら有り得ない勘定に思えてなりません。家計だってそうでしょう。赤字なら減らすのが道理です」

「はあ、それはまあ、そうです…」

「だから、前年度の予算を元に新年度の予算を組むという慣例的な予算の立て方に問題があるんじゃないでしょうか」

「では、どうせよと?」

「どうせよ、などと偉そうに云える立場じゃないのですが、ゼロベースの査定が必要かと思えるのですよ」

「えっ? どういうことでしょう」

「ですから、前年度予算のことは一度、忘れて、これこれしかじかの償還債務があるということを念頭に入れ、歳入の総額からまずさっいてしまうのです。もちろん50~80年の完済計画で割ります。で、残った予算を各省庁へ予算配当する訳です。各省庁に、これだけしか出ませんよ、と先に云ってしまう訳ですよ」

「なるほど…。そういうことですか」

「ええ、決算審査の予算執行率などはクソ喰らえです。配当予算を要求させるのではなく、トップダウン方式で歳入調停していくという手法です。各省庁は、それを元に各予算の現額を決定していくということです」

「それは今までにない、いいアイデアです。塩山さんが抜擢ばってきされた訳が分かりましたよ。実に聡明そうめいなお方だ。さっそく、総理に進言しましょう」

 長壁おさかべ財相は柔和な笑みを浮かべた。

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