第264回
『日本経済の将来については、いかがですか?』
「えっ?!」
突然、考えてもいない突飛な内容を訊かれ、私は唖然とした。
「…、それは私の省のことじゃないですよね」
『ええ、それはまあそうなのですが…。一応、一般論としてお訊ねしただけです』
お告げは一歩、踏み込んで質問した。
「話が少しむずかしくなってきたようです。経済というより、景気を何とかしなけりゃとか、円高とか、個々の問題ですと、とっつきやすいんですが…。少し酔ってますから」
『これはどうも…。それじゃ、景気についてはどうです?』
「景気は今や、日本だけでよくなるという時代ではないようです。世界相互間に、いくつもの協定がありますからね…。ですから今後、そう極端な好況は望めないでしょう。資源のない日本は水プラントとかの技術コミ輸出など、技術で経済を支える以外にはないでしょう」
『それについては、同じことをほんの埃ほどの話だが、と前置きされ、大玉様もおっしゃっておられましたよ。…では、円高の方は?』
「これはもう解決するでしょう。長壁さんが今やっておられる変動固定相場制ですが、IMFで一昨日、レートが決定されましたから…」
『そうなんですか? 私としたことが迂闊でした。いい気分で飲んでおられるところを、お邪魔しました。また、そのうちに…』
お告げは唐突に去った。