第254回
「ええ、それはまあ、そうですなあ…」
「ところで、変動固定相場制と先ほどおっしゃっていましたが、どういったものですか?」
「ああ…長壁さんにお任せするやつですか? あれは日々、変動しております世界通貨のレートを決めで定めようというものです。かつて世界はスミソニアンで協定された固定レートをとっておったことは、ご存じですよね?」
「はい、それはまあ…」
「1ドルが360円とかでしたが、アメリカ、イギリスの貿易赤字は解決せず二年ばかりで崩壊しました。今回は継続する時期を定め、一定の期間で見直そう・・というものです」
「といいますと、一定期間経てば変動すると?」
「ええ、まあそうですが、もちろん変動せず、そのままのレートで移行することだってありましょうが、国際情勢の変化により変動すると…」
「なるほど…。それで、その期間というのは?」
「それはIMFとかの決定事項ですが、各国の合意形成で決定づけられるでしょうから、半年なのか一年か、あるいは三年なのかは未知数です。私が意図したのは投資目的のヘッジ・ファンドとかの国際金融を乱しつつある無秩序な金融体制の阻止と防止です」
「壮大でスケールの大きい、グローバルなお話ですね?」
「ええ、私も以前は思いつきもしなかった発想なんてすよ、はは…」
総理は笑って場を和ませた。