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第238回

 次の日から今までどおりに出勤したが、部長との違いは細部に至る時間の拘束を受けるか受けないか、という点だった(ただし、会社の社務に関して24時間の臨戦態勢にあることは、その言を待たない)。部長だった私は広い一室を宛行あてがわれてはいたが、やはり時間の拘束は受けていた。だが、取締役ともなると、勤務評価を伴う拘束はなかった。それもそのはずで、取締役とは経営者であり、社員全体を評価する立場なのである。部長までは評価される側の立場だったが、今や評価する側の人間になっていたのだ。玉の意図が何なのかは分からなかったが、とにかく常務にまで昇格させてくれたのだった。当然、部長と同じく常務室なる一室が用意されていた。事業拡張の今まで常務ポストはなかった我が社、米翔こめしょうだったから、真新しい一室に美人秘書付きであった。さらに、専用運転手付き通勤車輌も宛行われる破目におちいってしまった。これがどうも不具合で、みかん等へプライベートで寄る場合は、その都度、運転手に云って帰ってもらわねばならないわずらわしさがあった。ああ、もうどうでもいいや…と、半分、捨て鉢になっていると、やはり玉の意図は私を出世させることではなかったようで、事がすぐに生じた。それは、私が常務に就任して、わずかに一週間ほどしたある日のことである。

 その日も、私はようやく慣れた常務室を出て帰ろうと、隣の個室にいる美人秘書の日浦ひうら君にそのむねを告げていた。

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