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第237回

 大きな異変は大臣になった一度だけだが、会社内では課長から次長、次長から部長、さらには今回の部長から常務と、三度も起きていた。それに今回の場合は、もう社員としての労働者ではなく取締役という経営者の立場だった。第二課長の児島君も、湯桶ゆおけさんを補佐する部長代理らしい。ただ、やる仕事は第二課長と同じで、専務の弁によれば釣りえさだと云う。経営者が云う釣り餌とは、この場合、肩書ですよ、と専務は説明した。

「すると、児島君は専務に釣られた格好ですか?」

「いいえ、会社が釣ったんですよ。湯桶君も、ですがね」

 そう返しながら鍋下なべした専務は高らかに笑った。その時、昼を告げるチャイムが流れた。

「なんだ、もうこんな時間ですか…。塩山さん、昼にしましょう」

「えっ? ああ、はいっ!」

 私は専務に導かれるように、会社近くのファミレスへ行った。

「塩山さんが大臣になられた頃からですか。注文が多くなりましてね。売上げがうなぎ登りですよ。我々役員も満面の笑みです、ははは…」

 店へと歩きながら専務は陽気に語り続けた。店へ入ってからも食事を終えてからも終始、鍋下専務の接待口調は続いた。これではどちらが上役か分からんぞ…と、私は思った。

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