第233回
「それはいくらなんでも云い過ぎだろう。湯桶さんに悪いぞ。…が、会社は君が云うようにあの人を部長には、すまい」
「でしょ?」
こんな雑談が続き、やがて九時過ぎになった。児島君はタクシーを呼び、ホロ酔い気分で乗り込んで帰った。そのとき私は玄関で見送っていた。少し酔っていたからか、外気が冷んやりして気持ちよかった。
玄関を閉じて中へ入ると、お告げが舞い降りた。
『どうです? すっかり状況が変わったでしょ? この前、寄せて戴いた折りには、まだ内閣にいらっしゃった筈です』
「ああ…、そうでした。それで、いったいこの次はどうなるんです? あまり激しいのは疲れますから、お手柔らかに願います」
『以前にも云いましたように、霊界の決めがありますから、どうなるかは云えません。ただ、悪くはない、とだけ申しておきます。それと、霊力を操っているのは私ではなく大玉様ですから、誤解なきように願います。ですから、お手柔らかに、という権限は私にはありません』
「そうでしたか…。まあ、孰れにしても、よろしくお願いしますよ」
『分かりました。出来る範囲のことでしたら…』
玉は私以外には聞こえぬ声で厳かに云った。