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第23回

「やっぱり、何かあんのかしら?」

 早希ちゃんは少し怖くなったのか、酒棚に置かれた水晶玉を窺い見て、小声で云った。

「なに云ってんの! ほほほ…、馬鹿な子ねえ。そんなこと、ある訳ないでしょ」

 ママはわざと強がってみせ、小さく笑う。私はボックスから立ち上がると、カウンター席へ移動した。後ろに二人が従う。

「少し寝不足気味のせいだと思います」

「そう? なら、いいんだけど…。いつものでいい?」

「はい…」

 ママはカウンターの酒棚側へ入ると氷を準備する。キープしたボトルは二本ある。早希ちゃんはその一本を棚から下ろし、ママに手渡す。慣れたママの手つきでダブルの水割りが仕上がっていく。今日のつまみは、ピーナツだ。早希ちゃんは、それが乗った小皿を私の前へ置く。

「え~と、どこまで話したっけ?」

「棚から動かしちゃ幸運が逃げるって云ったとこじゃなかったですか?」

 早希ちゃんがママをフォローする。

「そうそう…。まあ、そんなことはない、とは思うんだけど、そう云われちゃねえ~。なにもさぁ~、置かなきゃなんない訳なんて、これっぽっちもないのよ。見返りを要求されたのでもないからね」

「それで置いた、ってとこですか?」

「ええ…。だって、断ってさぁ~、妙なことが起きれば嫌じゃない?」

「はあ、それはまあ…」

 私は頷いて、ピーナツをひとつかじった。

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