第228回
「はあ、まあ分かりやすく云えば、そうなりますかねえ…。時空移動と云って戴いてもいい霊動です」
「しかし、そんなことが…」
「俄かにお信じになれないのは分かります。ですが、もう私の身体はほんの少しずつですが移動し始めておるのですよ」
そう云えば、沼澤氏がママを霊視すると云った一連の流れは、確かに過去にあった。その時空へと沼澤氏は消えようとしているのか。
「それは、この玉の判断によるものなのですか?」
「いえ、違います。塩山さんも以前、お告げでお聞きになったことがあると思いますよ。この玉も大玉様から指示を受けておるのですよ」
「確かにそのことはお告げで聞きました」
「そうでしょう。ですから、かなり大きな規模の話だと思われます。なぜ私がそちらへ行くのか、は分かりませんが…」
「お断りは出来ないのでしょうか?」
「ええ、それは出来ませんが、乗り気でなければ一応、あちらへ行ったあと、Uターンは出来るようです」
「帰って来られた方も多いのでしょうか?」
「はい、半分以上、帰って来られるようです。本人の意思を無視することは霊界では決して許されません。こちらの世界以上にね…」
「ほう、そんなものなんですか…」
「ええ、そんなものなのです…」
ふーん…そうなんだ、と私は思った。