表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
222/317

第222回

「何か、あったんですか?」

 私は妙だ…と思えたので、沼澤氏にたずねてみた。

「それなんですがね…。私、最近、辻占いをやっておるんですよ。ですから火、土曜以外の日でも眠気ねむけに来ることがあります」

「まあ! そうなんですか? 少しも知らなかったわ。教室で、ですの?」

「いえ、場所はその都度、駅前とか、会館前とかに移動して、いろいろなんですが…」

「もちろん、見料けんりょうは、もらってられるんでしょ?」

 ママのあと、今度は私が訊ねた。

「ええ、それは一応…。それが駄目なんでしょうかねえ?」

 沼澤氏が急に心細い声で、逆にいてきた。

「いや、そんなことはないと思いますよ。ねえ、ママ?」

「そうですよ、沼澤さん。人間なんですから稼ぎがないと生きてけませんわよ、ホホホ…」

 沼澤氏は玉のお告げがなかったことをえらく気にしているようで、辻占いと結びつけて考えているようだったが、ママが慰めて、いくらか気を取り直した。

「一度、皆さんを見てあげましょう。まず、ママさんから…。ママさん、そこの棚の水晶玉をカウンターへお願いします。そして玉の前へお立ち下さい」

 ママは、棚に飾られた水晶玉を敷いた紫のきれごと移動して沼澤氏の前へ置いた。 これは…いつぞやと同じだな、と私は思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ