表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
219/317

第219回

 みかんへ入ると、今までとは別人の歓待ぶりであった。そりゃ、大臣なんだから…と云われればそれまでだが、ドアの入口までママや早希ちゃんが迎え入れてくれたからである。こんなことは今までの私なら、千回通かよってもまずないだろう…と思えた。肩書というのは人間社会、特に日本では幅をかせるものなんだと、このとき痛感した。コップの水は東京へ出る前にはようやく出してもらえるようになっていたが、この日は加えて熱いお茶がすぐ出た。以前も当然のように出たが、しばらく話してからで、すぐではなかった。おいおい、どうかしたんじゃない? と、思わず早希ちゃんにきそうになり、あわてて口をつぐんだ。

「どうなのよ? あっ! いけない…。お大臣に、こんな口、きいちゃ駄目よね…」

 早希ちゃんは勝手にひとり芝居を演じ、云った自分の言葉を否定した。

「なに云ってる…。今までどおりでいいさ。俺はちっとも変ってないよ」

「またまたまた…。日本のお大臣なんて、転んでもなれないわよ」

「そうよ、満ちゃん。お大臣もお大臣。本物のお大臣様なんだからぁ~」

 ママも早希ちゃんに加勢した。

「そんなっ! ええ…まあ、そうなんですがね」

 ママの手前、あっさり私は撤収した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ