表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/317

第208回

 受話器を握ったとき、もうこれは呼び込み以外にはないだろう…とは思っていた。案の定、呼び込みだった。あとから聞いた話だと、議員のめぼしい方々には取り巻きの報道陣が詰めかけているようだったが、幸いにも無名の私には、そうした気忙きぜわな心配ごとはまったくなかった。ただ、タクシーで官邸に到着して以降は完璧に有名人扱いで、ラジオ、テレビ、新聞を賑わせることになってしまった。決して私自身が望んだことではなく、玉が良かれ、と判断した結果なのだからどうしようもない。私は平々凡々と暮らしたかったのだが、玉によってある意味、凡人としての人生を歩めなくなったのだから、名声を馳せて出世することの比較では痛しかゆしと云えるだろう。

 さて、皇居での認証式で、あの超有名な陛下ともお出会いし、正式に農水大臣のポストに就任した私は、小菅内閣の初閣議に臨んだ。私は末席をけがす程度の存在だったから、小菅こすが総理の席からは、かなり遠かった。なにやら語っておいでのようだったが、正直云って、あまり聞きとれなかった。というのも、心ここにあらず、だったことと、急に玉のお告げが聞こえたためである。

『どうでしたか? もう少しあとで、と思いましたが、とり急ぎ、お祝いだけ云わせてもらおうと、寄せていただいたようなことです』

 もちろん、お告げの声は他の閣僚達には聞こえていなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ