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第203回

ひと口、食べて水割りを流し込んだ。至福のひとときとは、まさにこれだと思えた。ただ、この幸せがあと何度、味わえるのかと思うと心が乱れた。私はふと、酒棚を見た。すると、久しく異様な光を発していなかった棚の水晶玉が渦巻いているではないか。私は目をこすったが、やはりまぼろしではなかった。いつやら、棚の玉とポケットの中の小玉が同時に渦巻くのかを確かめよう…と思ったことがあったが、そのときから、まだ一度も渦巻く玉を見たことがなかった。それが、この夜は渦巻いていたのである。ママや早希ちゃんには見えておらず以前、私が輝いていると云い、二人に小馬鹿にされた経緯いきさつがあった。この夜は沼澤氏がいたから、彼にはどう見えているのだろう…と確かめたくなった。

「酒棚の水晶玉ですが…」

「ええ、今夜は渦巻いています…」

 沼澤氏は、ちっとも驚いていないようで、落ちついて語った。そして、ポケットからおもむろに小玉を取り出し、手の平へ乗せた。なんと、その小玉も異様な黄や緑色を浮かべて渦巻いていた。

「塩山さんもお持ちなら、確認をされては?」

「えっ? はい…」

 私は背広上衣のポケットに入れていた小玉を取り出して手の平へ乗せた。すると、その小玉は沼澤氏のものと同様に、黄や緑色の光を浮かべて渦巻いているのだった。

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