表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/317

第20回

「それはいいんだけど、その紳士のことと水晶玉を棚に置いてる訳が今一、分からないんだけど」

「そうそう、話が余計なところへ行っちゃったわ、あら、嫌だ」

 ママは美しい笑顔を見せた。今日は剃り残しの顎毛もないから、男だと知らなければ、それはそれなりに色気を感じるお方もいるのだろう。だが、私は知っている。それが具合悪いし、今風の若者言葉で云えばキモイし、キショイ。

「で、その人が鞄から水晶玉を取り出した訳…。ここまでは、この前と同じだったのよ。違うのは、そこから!」

「そうなの。その男さ、紫の布切れを開いて玉を取り出すとね、それをカウンターへ置いて、じっと玉を覗き込むの」

「悪いけど、そこもこの前、聞いたんだけど…」

 ママからバトンを受け、今度は早希ちゃんが説明を始めたが、私は気づいたまま駄目出しで突っ込んだ。

「そうだった? でね、何を云うんだろうと思ったわよ。そしたらさあ」

「この店に近々、幸運が舞い込みます、とか」

「そうじゃないのよ。云うことが何かキモくってさあ」

「何、云ったの?」

 私は身を乗り出した。

「この店に、もう幸運は舞い込んでいます。それがこの水晶玉です。これをそこの酒棚に置けば、あら不思議、店はたちまち大繁盛、疑いなし! ってね」

「それって、霊感商法? そんなの、けっこういるぜ」

 私は注意を喚起すべく、釘を刺した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ