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第189回

 その夜の私は少し興奮ぎみで寝つけなかった。煮付につけ先輩の話について考えていたから・・というのでもなかったが、心のどこかで、私が大臣か…などと北叟ほくそ笑む自分がいたのかも知れない。先輩の話は夢物語などではなく、厳然とした事実なのだが今一、シックリしなかった。このことを久しく話していない禿山はげやまさんに云ってみようか…などと、寝つけぬまま思ったりした。ベッドを抜け、カレンダーに目をる。最近、禿山さんを監視室で見た日付からすると、偶然なのだが上手い具合に今夜は深夜勤をされている番だった。ということは、明日の早朝なら出会える訳だ。目覚ましを四時にセットして眠ることにした。

 意識した予定を抱えて眠ると、やはり妙なもので、眠れなくとも時間には目覚めるものである。しかも寝起きとともに身体が勝手にリズムよく動くのだった。そして、いつの間にか私は監視室の中にいて、禿山さんと話していた。時計のセットからわずか六時間ばかり先のことである。

「どうされました? 何ぞありましたか。…そういや、いつぞやのお話から随分ですな」

 例の赤みがかった血色のよい笑顔と、よく照かった丸禿頭は、やはりこの朝も存在した。

「はあ、そうなりますね…」

 私は愛想笑いをして返していた。

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