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第185回

 先輩が私のいる部長室へ入ってきたのは、それから小一時間過ぎた頃だった。カツッ、カツッっと小気味よい靴音が響き、ドアがノックされた。私は即座に、「どうぞっ!」と大声を発した。ガチャッと音がし、ドアが開いた。

「君達は応接室で待っていなさい。三十分ほどで戻る…」

 お付きの人達に云っていると思われる先輩の声が、ドアの隙間から小さく聞こえた。そして中へは先輩一人が入ってきた。他の人達は、どうも引き返したように思えた。

「待たせたな、塩山。…それにしても、眠気ねむけはいい所だな。だいいち、空気が美味い!」

「ははは…、都会に長くおられると、そう思われますか?」

「ああ、実感でな」

 私と煮付につけ先輩は思わず大笑いした。

「ところで、云ってらしたお話とは?」

「おお、それだったな。…実は近々、小菅こすが改造内閣が組閣されることは、ほぼ間違いがない。そこでだ! 総理と私が直接、話したんだがな。お前を民間人から入閣させようと考えてな。総理も考慮しようとおっしゃった」

「えっ? …ええっ!!?」

 目を丸くする・・とは、まさにこのことであろうか。民間人が入閣して大臣になれることは知っていた私だが、まさかその人物としてなんの社会的知名度や地位もない私が先輩から名指しされようとは露ほども思ってはいなかった。

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