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第178回

その後、銀座で美酒に酔い、ホテルに一泊して始発で帰った。児島君は数日、泊ってこられればよろしいのに…と出がけに云ったが、部長という肩書の手前、そういう訳にもいかなかった。なぜかふと、禿山はげやまさんの丸禿頭を照からせた柔和な笑顔が浮かんだ。

━ クタクタにお疲れの割には、幸運ってのが、余りに小ぶりに思えるんですがなあ… ━

 浮かんだのは、確かこれが二度目だった。私は米粉プロジェクトの成功と業績の向上、いや、米翔こめしょうの発展のすべてを賭ける思いで頑張っていた。だから心身ともにクタクタでボロボロだった。玉の霊力によって実現した会社発展、それはある意味、私の仕事の成功なのだが、その幸運は禿山さんの言葉どおり余りに小ぶりに思えた。そう思えたのには、この時、限界に近い疲れを私が感じていたこともある。さすがに倒れそうな身の危険を察知した私は、東京から帰った次の日、休むと児島君に電話連絡だけしてベッドで爆睡した。気づけば、もう昼の三時過ぎだった。こんなに眠ったことは学生時代より久しくなかった。ベッドを抜け出たとき、あのお告げが久しぶりにあった。

『お久しぶりです。お仕事が順調なようで何よりです。どうです? 大舞台の第一歩を歩まれたご感想は?』

「えっ? …そうですねえ。疲れるだけで成果が、といいますか、幸運そのものが今一、小さく思えるんですがね…」

 私は初めて玉へ小さな愚痴を云った。

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