表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/317

第177回

 その後の一ヶ月は、今から考えればわずか一日だったような気がする。それだけ多くの出来事があり、私は諸事に忙殺されるほどの状態であった。そして、お告げそのものも私の多忙さに遠慮してか、まったく影をひそめ、当然、私も沼澤氏、みかん、禿山はげやまさんのことなどを一切思い描かず、というより思い描くひまもなく、ただあわただしく米粉プロジェクトの総指揮をっていた…というような日々だった。

 一件がようやく軌道に乗り、販売網に加わる新たな得意先企業も獲得でき、私としては、ほぼ満足のいく感触をつかむに至った。一ヶ月の間に東京への出張は数度に及び、煮付につけ先輩とは何回か話し合える機会を得た。

 その日も私は煮付先輩に招待された赤坂の某高級料亭にいた。

「どうやら軌道に乗ったようだな、塩山。ごくろうさん…。まあ、一献いっこん

「はい! 先輩のおかげで…」

 先輩が注いでくれる銚子の酒を猪口ちょこに受けながら、私はやや緊張ぎみにそう云った。

「これで道筋は、ついた訳だ。お前の会社も急成長することは疑いなしだな」

「はい…。というより、日本の食糧事情の明るい展望が開けたことが何よりです」

「おお…そういうことだ。まだ始まったばかりだな」

 モグモグと豪快に料理を食べながら、先輩は猪口を干した。その豪快さは学生時代と少しも変わっていなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ