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第176回

 煮付につけ先輩が云っていた十日後は、案外、早くやってきた。その晩、私は万をして先輩からかかってくる電話に待機していた。もちろん、色よい返事が出来る承認は取締役会でなされていた。

 電話の呼び出し音がついになった。

「おう、塩山か…。どうだった、会社の方は」

「はい、なんとか役員会で承認が取れました、お蔭様かげさまで…。あのう…これから私は、どうすればいいんでしょう?」

「なにをビクついてるんだ。ドーンと構えてりゃいいのさ。あとのことは、省の連中にやらせるから、お前はその連絡を待ってろ」

「はい! そうします。しかし、上手くいくかどうかが、どうも不安でしてねえ…」

「ははは…そんな心配より、米粉の販売網のチェックを頼むぞ」

「はい! そちらの方は、私も万難ばんなんを排して努力させて戴きますので…」

「そうか。まあ、塩山だから、安心はしているが…」

 こうして話は順調に進んていき、社運は大変化を見せようとしていた。電話の最後に煮付先輩は、すべては会社宛に書類を送ったから、それを読んで理解してもらいたいと云った。

 電話が切れたあと、しばらく私は無気力感にさいなまれた。ふと気づいて思ったのは、いつか途切れたお告げのことを思い出すひまがないほど、米粉プロジェクトに没頭していた自分の多忙さだった。

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