第171回
「ハハハ…。玉は霊を超越した無限の存在です。霊力は出しますが、霊力の影響を一切、受けません。ただ、交信するだけです…。飽くまでも、だけです」
「はあ…、だけですか。つれないですねえ」
「いやあ、それは飽くまでも交信を受けた場合です。玉の方から霊力を送る時は、その人の最良の結果を考えますから、つれない、ということはないと思いますよ」
「これから私はどうなっていくんでしょう?」
「また心配しておいでだ…。もっと太っ腹で行きましょうよ。何をしたところで、成るようにしか成らないんですから…」
「そうですよね…。煮付先輩のプロジェクトも、成るようにしか成らないのか…」
「ええ、まあそういうことです。今の塩山さんは、どうなるかという結果を知らない。しかし玉には将来のあなたがどうなっていくかが分かっている。つまり、先が見える、ということでしょぅな」
「なるほど…。大よそは分かりました。ああ…、長く話してしまった」
タイミングを計ったようにママと早希ちゃんが戻ってきた。
「おかわり、作りましょうか?」
「沼澤さん、どうします?」
と、私が訊く。
「はあ、…じゃあ、もう一杯、戴きます」
「ママ、同じのを…」
「はい…」
しばらくして、シェーカーの音が小気味よいリズムで流れ始めた。