表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/317

第165回

「どうしたんだい? こんな早くから…。なにか急な問題でも起こったのかね?」

「いえ、そういうことではないのですが、実は昨夜、国会議員の煮付につけ代議士から俄かな電話がありまして…」

「煮付議員って、あの政府要人の煮付さんかね? …ほう、まあ、そちらでゆっくり聞こうじゃないか」

 鍋下なべした専務は椅子から立ち上がると、前方にある応接セットを指さしてそう云った。私は云われるまま応接セットへ近づき、腰を下ろした。専務も私の対面へゆったりと座った。

「君は煮付さんをよく知ってると見えるね。向こうから電話をかけてこられるんだから…」

「はい、まあ…。学校の先輩後輩の間柄でして、何かとお世話になった方です」

「先輩か…。それで、内容は?」

「それなんですが、政府主導の農業プロジェクトに我が社も参画願えないか、というものでして、詳細は、これをお読み戴ければ…」

 昨夜、煮付先輩の電話を聞いたあと、眠気ねむけを我慢してPC入力した書類を、私は鍋下専務に手渡した。専務は座席まで一端、老眼鏡を取りに行ったあと、ふたたび戻り、応接セットへ腰を下ろして書類に目を通した。しばらくの時が流れ、黙読を終えた専務は、私の顔を老眼鏡越しに静かに見た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ