表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/317

第15回

「そうなんですよ、少し寒過ぎます。みかんって店なんですけどね、その店は…。まだ熟れてない話です」

「おっ! 上手いこと云いますなあ。みかんだけに、熟れてないと…」

 別に洒落しゃれで云った積もりはなかったのたが、禿山はげやまさんは私が洒落たと思ったのだろう。残った茶を飲み干し、私は椅子を立った。

「この次、店に行った折りには何らかの進展があると思いますので、また機会がありましたら お話しします。それじゃ…」

「はい、いずれまた…」

 そう云いながら私のあとを追って席を立った禿山さんは鍵を開け、ロックを外した。そして私がドアを開けると、外まで出てくれた。

「楽しみにしとります」

 禿山さんの言葉を背に受けながら、私は課へと向かった。辺りは閑散としていて、まだ人っ子ひとりいない。歩きながら、禿山さんも寂しい人生を送っておられるんだ…と、勝手に解釈して憐れんでいる。よーく考えれば、四十半ば過ぎで一人暮らしを続ける私の方が、ずっと哀れなのかも知れない。人を憐れんでいる場合じゃない…と思ったが、その時また、みかんの一件が脳裡をよぎった。これは遅かれ早かれ、きっちり話を終わらせなきゃいかんな…と私は思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ