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第146回

急用だ、と児島君に叫んだ手前、このまま車を止めておく訳にもいかない。私はエンジンキーをひねって車を発進した。会葬者は有給休暇となっているから、会社へは戻らなくてよかった。それはいいとして、お告げと小玉のその後が気がかりで、一瞬、右ポケットへ視線が走り、危うく前方の赤信号を見落としかけ、急停車した。とりあえず車を適当な場に止め、小玉の様子を見てみよう…と思った。走る道路の左前方に見慣れたA・N・Lの、ど派手な建物が迫ってきた。そうだ、この駐車場なら周りの目を気にする必要はない…と思え、私は左ウインカーを点滅させ車を店の駐車場へ入れると、右ポケットの小玉を取り出した。すると、小玉はセレモニーホールで見たようなあやしげな光は出しておらず、普通の紫水晶アメジストの小さな玉だった。私は、なんだ…と、がっくりした。これなら態々(わざわざ)、停車させなくてもよかったのである。私は急に力が抜け、大欠伸あくびをひとつ掻いた。そして、少し疲れぎみの自分に気づかされた。亡くなった鳥殻とりがら部長の葬儀に忙殺され、疲れなどかえりみるひまがなかったからだった。大欠伸をしたあと、ポケットへ小玉を戻した。そして、エンジンキーをふたたび捻ったとき、この日二度目のお告げが聞こえてきた。私は瞬間、エンジンを切っていた。

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