第142回
「課長! え、偉いことです!」
児島君の机の電話に緊急の一報が入ったのは、そんな時だった。
「どうしたんだ? 児島君。顔色が蒼いぞ」
「と、鳥殻部長が脳梗塞で、ス、スープに…、いや、お、お亡くなりに…」
児島君の声が震えていた。
「な、なに云ってるんだ、君は! もう一度、云ってくれ」
「だから…、鳥殻部長がたった今、寝言総合病院で息を引き取られたと…」
「ええ~っ!!」
私は俄かに突発した弔事に気が動転した。玉のお告げは、まさに本当だったのである。この先、営業部はどうなるんだ…という思いに私は飲み込まれていった。
それからの出来事については、余りにも雑事が多く、語るのも大変なので、それらの概略を述べ、詳細は一部のみにしたいと思うので了解をお願いしたい。
直属の鳥殻営業部長の訃報以後、当然のことながら一~三課の課長、係長は葬儀に関連する諸事に忙殺されることになった。人ごとのように云っているが、事実、私は天手古舞だったし、児島君の助力を得て、かろうじて乗り切った、というようなことだった。鍋下空八専務の号令の下、オケセン・・いや、湯桶洗澄次長を葬儀委員長に据え、諸事が課長、係長の分担で、社葬は盛大に執り行なわれた。これが概略である。さて、一部の詳細から話をふたたび起こすことにしよう。