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第139回

「塩山さん、えらくバタついておられますが、どうされました?」

 夜勤番らしく、禿山はげやまさんがいつもの丸禿頭を仏様の光背のように照からせてたずねた。

「今、詳しいことは云えないんですが、どうも今日、会社で何事か起きる、というお告げがあったんですよ」

「まあ、立ち話もなんですから、お茶でも飲んで気を鎮めて下さい…」

 云い終わらないうちに、禿山さんは立ち上がるとドアの方へ近づいて鍵を開け、ドアチェーンのロックを解除した。私は荒い吐息を静めて云った。

「そうですか? それじゃ、しばらくの間だけ…。よく考えれば、何か起こったとしても、皆が出勤してからですよね」

 私は幾らか気を動転させ、冷静に考えずに動いていた。そんな私が、誰もいない出勤前の社内へ、見苦しくもバタついて入ってきたのだった。当然、警備室で語ろうなどとこの日は思っていなかったし、その心の余裕すらなかった。そんな私を禿山さんは見透かしたのだ。いつもの尋常な私ではなかったこともあった。私は云われるまま、警備室へ入った。

「いったい、何があったんです?」

「話せば長くなるんですが、昨夜、寝ようとしましたら、例の玉のお告げが聞こえたんですよ」

「ええっ! なんですと? こりゃ、大変だ!」

 禿山さんも会社のことだけに、警備員の血が騒いだようで、興奮ぎみに云った。


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