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第131回

「あらっ? こちら初顔ねぇ~」

 早希ちゃんはどうも年下に弱そうだった。児島君が椅子へ腰を下ろすと同時に、いつも構えているボックス席から立ち上がり、にじり寄ってきた。ママは無言でグラスを拭きながら、時折り視線を私達に向けるだけで、お相手役を全面的に早希ちゃんに任せていた。早希ちゃんは児島君の左隣へ、やんわりと座った。

「こちら、私より幾つか下…って感じ? 違ってたら、ごめんなさい」

 いつもより猫声である。要は、少し色気の胡椒コショウを振りかけた、ということだが、私にも振りかけて欲しい…とは思った。

「児島君、おごるから好きなもんを注文しろよ」

 私は少し格好よく云った。実は奢ったことなど、ここ最近なかったのである。飲み仲間とは割りカンだったし、接待は会社への伝票回しだったからだ。児島君は私と同じでよい、と云ったので、ダブルをオーダーした。キープしてあるから、そうは高くつかない…と、私はすでに踏んでいた。ふと、顔を上げれば、酒棚に飾られた玉にこれといった変化はなく、いつもの紫色がかった水晶玉の状態だった。その酒棚にママの手が伸び、ボトルがおろされた。

「昼の続きだけど、どこまで話したっけ?」

「え~と、ですね。…そうそう、同級生の話でした」

「ああ、好きではないけど会いたくなった、ってとこだったね」

「なによ、それ?」

「あらっ、面白そうじゃないの」

 ダメ出しする早希ちゃんを止め、ママが話に加わった。

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