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第129回

 児島君の話が気になって仕事が手につかなかった私だが、それでも時は流れ去った。仕事を終え、私は前席に座る児島君を見た。彼も話し足りない、もどかしさがあったのか、仕事をいつもより早く切りあげた。課員達は波が引くように一人去り二人去りと数を減らし、十人ほどがまとめて去った後、残ったのは私と児島君の二人だけだった。年明けからようやく繁忙期が終息に向かい、私の第二課もいつもの落ち着きを取り戻しつつあった。

「よしっ! それじゃ帰るか、児島君」

 玉の霊力? による次長昇格まで三か月を切り、私は事務の引継ぎ書類などの身辺整理を少しずつ始めていたのだが、ひと区切りがついたところで児島君にそう云った。

「課長…また屋上で話しますか?」

「んっ? …いや、酒でも飲みながら話そうや。私の行きつけがある。君も今後、接待してもらう立場だから、少し慣れておくさ」

「はいっ!」

 児島君は偉く返事がよかった。日没は幾らか遅くなったが、それでも夜の訪れは、まだあわただしかった。監視室の禿山はげやまさんが、「おっ! 今日はお二人ですか…」と、例の仏様の後光のような丸禿頭を照からせ、いつもの愛想よい笑顔で声をかけてくれた。私は軽い会釈をしながら笑顔で通り過ぎ、後ろの児島君も同じ仕草しぐさで私に続いた。


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