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第122回

 正月がやってきて、インスタント餅で雑煮を祝った。私以外に作る者はいないのだから、当然、セルフである。調理も食卓準備も、食べるのも、あと片づけも…すべてが私である。食べるのはいいとして、その他は、ことごとく私の労働に集約されるのだ。幸い、年末から続く年始の休暇で会社は休みだったから、のんびりと適当にやっていた。その時、家の電話が鳴った。これもあとから冷静に考えれば、偶然だったのかも知れないが、みかんの早希ちゃんからだった。

「おめでとうございますぅ~。どう、楽しいお正月やってる? あっ、ひとりか…。悪いこと訊いちゃった、ごめんなさいぃ~」

 早希ちゃんは、ひとりで演じて語った。私は適当に、「…まあ」と相槌を打った。

「おせちも何も、どうせないんでしょ? どうよ? 私が何か作ってあげようか?」

「俺ひとりだぜ。どうなっても知らないぞ」

 私は冗談だと思い、冗談で返したつもりだった。

「あらっ! そんな勇気、満ちゃんにあるのかしら? 安心、安心。百パー安心!」

 勝手に早希ちゃんは決めにかかっていた。

「なら、来なよ。ただし、冷蔵庫は空っぽだぜ」

「フフッ、任せなさいよ…」

 話そうとしたが電話は切れていた。携帯のメールじゃなく直接、かけてくれたのがうれしかったし、インスタント雑煮だけではわびしい…と思っていたのは事実だった。私は早希ちゃんが来るというので少々、あわてていた。


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