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第119回

だが、いつまでも車を動かさないというのも妙な話だ…と、マイナス思考になった。決して心やましいことをしている訳ではないのだが、手の平に乗った水晶小玉を見続けている姿を他の客に見られるのも気まずい…と思えたのだ。暗いとはいえ、まだ漆黒の闇夜とまではいかない頃である。私は一端、小玉を背広ポケットへ戻し、エンジンを始動した。当然、向かったのはお告げがあった眠気ねむけ会館である。腕を見ればすでに七時を回っていた。お告げを疑う訳ではなかったが、沼澤さんがこの時間まで眠気会館にいるとは思えなかった。なんらかのハプニングが起きていない限り、そのまま会館から出ないというのは不自然で有り得ないと思えたのである。しかし、取りあえずはお告げのとおり、会館へ寄ってみようと車を走らせた。

 眠気会館へ着いた時は、今度こそもう辺りは漆黒の闇であった。ニ、三の建物はあるものの、灯りは道路沿いに全くなく、月も出ていない。だから、街灯か何ぞの光がないと、歩く足元が危うい状況だった。会館は人の気配がしなかったが、不思議なことに二階の窓の一枚がポツンと明るく、点灯されているようだった。私は階段を上り、その窓の一室を目指した。ドアを開けると、ゆかへ腰を下ろして座禅を組み、冥想する姿の沼澤氏を発見した。私は一瞬、この人は、いったいこんな時間に何をしてるんだ? といぶかしく思えた。

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