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第117回

ということは、このまま突っ走らせて眠気ねむけ会館へ行っても無駄足になるということを意味した。私は今日はやめにするか…と思いとどまった。さて、そうなると、このまま家へ帰るか…と思えたが、にわかに空腹感が襲ってきたので、私はA・N・Lへ車を回そうとした。だが急に、ラーメンが食べたくなり、行きつけの麺坊めんぼうへコースを変えた。店内は結構、客がいたが、予想より空いていた。

「へいっ、いらっしゃい!!」

「醤油…ニンニク入り、葱たっぷり…」

 カウンター椅子へ座って、即座に水コップを持ってきた男性店員に気取ってそう云った。店員も見慣れた客だ、と思ったのだろう。私が注文を云うのをメモりながら適度に入れる相槌にも誠意が感じられた。行きつけの店はいいな…と思えた。

「はい! 以上で?」

 私が無言で頷くと、店員は活気のある声で注文書きを復唱して調理人に伝えた。

「はいよっ!」

 カウンター越しに私の前へ立つ調理人も、勢いよく返した。

 それからしばらくして、出てきたラーメンを啜りながら、私は水を飲んだ。すると、ふと、『会館へ行きなさい…』と、どこからともなく、意志の声のお告げがあった。私は店内をキョロキョロと見回した。それを見ていたカウンター越しの調理人は、怪訝けげん眼差まなざしで私を見た。慌てて私は顔を伏せ、ラーメン鉢へ戻した。私にも、その声が直接、誰かが云う声ではなく、あくまでも意志の声なのだ…とは、分かっていたのだが…。

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