第111回
和室の畳には角長机が置かれ、部屋隅にテレビが見えた。そのテレビをほどよく観られる位置には座椅子が置かれていた。床の間には墨書された小むずかしい達筆の掛け軸、その前畳には、なんとも麗しい花が生けられていた。
「おお…こういうご趣味もお有りで…。美しいですねえ…」
私が少し感心して褒め言葉をくり出すと、禿山さんは、「あっ! それ、造花です」と、即答で返し、にべもない。そして、私に座布団を敷いた席を勧めながら、「前は、それでも生けておったんですよ。しかし、もう疲れました、ははは…」と笑い流して体裁を整えた。禿山さんが云うと弁解がましくないのは、光り輝く丸禿頭の威光か…と、冗談めいて思った。
「大したお構いもできませんが、まあ、お茶でも淹れます…」
禿山さんは私を座らせて、自分はそのままキッチンへ行こうとした。
「いや、もうお構いなく…。それより話を…」
「まあ、お茶ぐらい飲んで下さいよ」
病人をあまり動かすのも…と思ったのだが、案外、元気そうに立居ふるまいをする禿山さんに、私は少なからず安堵した。
お茶と茶菓子が出され、私は身に宿った霊力について話し始めた。