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第105回

ただ、霊力がいつから、どういった形で私の身体に備わるのか? といった疑問は残ったままだから、ほぐれたといっても、緊張がゆるんだ…ぐらいだった。

 日々を意識して暮らすと、案外、そうならないものである。丁度、この時の私がそうで、霊力は…霊力か…と、一挙手一投足に気を回せば、全てが何でもないことだった。

「課長! どうかれましたか?」

 児島君の声を聞き、私はふと、我に返った。

「んっ? …いや、何でもないよ。ありがと」

 沼澤氏に電話を入れた日から五日ばかり過ぎたが何事も起きていなかった。それでも、内示された次長昇格は取締役会で正式に承認される運びとなった。つまりは、翌年四月の異動で次長に昇格することが決定したのだ。そうなると、私のポストは児島君が上るとして、いまの湯桶ゆおけ次長はどうなるんだ? と考えが及んだ。社内状況を述べれば、湯桶洗澄あらずみ次長[通称は仏のオケセン]は、老齢による勧奨退職者の一人に挙げられていた。しかし、力んだところで春先にならないと人事に無縁の私には、何も分からなかった。児島君は私のから返事に怪訝けげんおももちのまま自席へ戻った。その時ふと、課内の天井から声ではない意志の声がした。その声は耳に届くという性質のものではなく、なんと云うか…心理の声であった。もっと分かりやすく云えば、私の頭でささやく意志の声だった。それまでは考えも及ばなかった発想が、ああして、こうして、こうなる…と、瞬間に考えられた…というか、浮かんだのだった。

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