第10回
その日はどういう訳か、家に帰ってから急に酔いが出た。焼飯を注文する前、空きっ腹にダブルを流し込んだのが災いしたか…と、思えた。飲酒しているので車は駐車場に置き、明日の始発で取りにこよう…と、駅へブラリと歩いて電車で帰ったのだが、少し歩いたことに原因があるようにも思えた。
次の日の早朝、私は計算した通りに始発へ乗り、駐車場へ車を取りに行った。それから、二十四時間ノン・ストップ営業のファミレスが出来たと会社の同僚に聞いていたので、もの珍しさも手伝って、そこで軽く朝を済ませようと車を走らせた。
そのファミレスは会社へ向かう国道沿いにあり、開店から間もないのか、ひと目で分かる大層、ど派手に飾られていた。誰もが車中から振り向くほどであった。車をパーキング・エリアに止めて店へ入ると、早朝の所為か、数人の客しか入っていなかった。それも、広い店内に散らばって座っているのだから、座った席からは見回しても姿が見えない閑散とした風景なのだ。まあ、そんなことはどうでもいいさ…と、席に置かれた呼びチャイムのボタンを押した。すぐに男の店員が現われたので、私はモーニング・サービスを注文した。某一流チェーン店ということだから、それなりの勤務体系が組まれているんだろう…と、つまらなく思った。