ひきこもりタイプテスト
「たむらです」
たむらが来た。
「今日は102号さんがどのタイプのひきこもりなのか、テストで調べます」
たむらが出してきたのは、ワープロで打ちだしたような手作り感溢れる紙だった。
「マークシート式です」
マークシートは、学校で使われそうな本物っぽいもの。
「質問は僕が読み上げます。共同作業です」
渡されたシャーペンを片手に机に向かう。
「はいかいいえに印をつけてください。どちらでもない、は、極力選ばないようにお願いします」
ベランダからの風が壊されたサッシを抜け、我々に吹き付けている。
「ねこより犬が好き」
「いいえ」
「人より犬が好き」
「はい」
「好きなものを先に食べるタイプだ」
「いい」
「口には出さなくていいですよ」
そうか。
人と触れあいたくない。
はい。
人の目がこわい。
いいえ。
怖くなくなったからこうなった。
おっくう。
生きているのが辛い。
どちらか。
生きていること自体はそんなに辛くない。
将来に不安がある。
はい。
この先はどうなるのだろう。
いつまでこれを続けるのだろう。
「最後の質問です。自分は変われる、と思う」
高らかに笑い声が響く。
天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ。
ワハハハ。ワハハハハ。ワハハハハハハハハ。