5 台所が大惨事
カカポの森の小さな家。
その台所では、毎日おいしい匂いがします。
パン。
スープ。
蒸しパン。
クッキー。
そしてそれを食べるのは――
たくさんのカカポ。
ポポ。
ドン。
マル。
シダ。
タンポポ。
ふわり。
クルミ。
こまめ。
ノロ。
そして仲間たち。
全部で、三十羽くらい。
今日の朝。
リーナは村の雑貨屋さんに行く準備をしていました。
「みんな、いい子で待っててね」
「ぐぽ」
「ぐぽォ」
カカポたちは丸く座っています。
リーナは言いました。
「帰ったらスープ作るから」
その言葉を聞いて、
カカポたちはうれしそうにしました。
「ぐぽ!」
そしてリーナは出かけました。
家は静かになりました。
……。
しばらくして。
ポポが言いました。
「ぐぽ」
それは、
「お腹すいた」
という声でした。
ドンが答えます。
「ぐぽォ」
それは、
「スープまだ」
という意味です。
でもリーナはいません。
カカポたちは考えました。
ポポはゆっくり立ちました。
そして言いました。
「ぐぽ」
「作ればいい」
⸻
カカポ会議。
台所にカカポが集まりました。
三十羽。
もふ
もふ
もふ
ポポが鍋を見ます。
「ぐぽ」
ドンが冷蔵庫を見ます。
「ぐぽォ」
マルがにんじんを見つけました。
ころ。
床に落とします。
カカポたちは集まりました。
「ぐぽ?」
「ぐぽ?」
「ぐぽぐぽ?」
どうやって料理するのか、
誰も知りません。
でも。
リーナがいつもやっているのは見ています。
ポポが言いました。
「ぐぽ」
「まず切る」
⸻
包丁は危ないので、
カカポたちは別の方法を考えました。
マルがにんじんをくちばしでつつきます。
つん。
つん。
つん。
ドンは強く噛みました。
がり。
にんじんが折れました。
「ぐぽ!」
成功です。
カカポたちは大喜び。
でも、
三十羽で噛むので――
にんじんは
一瞬で粉々。
床がオレンジ色になりました。
⸻
鍋の問題
次は鍋です。
ポポが鍋を押しました。
ごと。
ドンも押します。
ごとごと。
三羽で押します。
ごとごとごと。
そして――
ガタン!
鍋が倒れました。
カカポたちはびっくり。
「ぐぽ!?」
でも諦めません。
シダが鍋の中に入りました。
「ぐぽ」
満足そうです。
料理ではありません。
ただ座っています。
⸻
冷蔵庫の扉が少し開いていました。
ドンが押しました。
ぱか。
中には――
ブロッコリー
キャベツ
さつまいも
きのこ
野菜の行列。
カカポたちは大興奮。
「ぐぽ!」
「ぐぽ!」
「ぐぽ!」
野菜を運びます。
ぽと。
ぽと。
ぽと。
床は野菜だらけ。
ブロッコリーが転がります。
キャベツはころころ。
きのこは踏まれます。
そのとき。
タンポポが気づきました。
「ぐぽ?」
リーナはいつも、
まぜている。
⸻
まぜまぜ作戦!
ポポが言いました。
「ぐぽ!」
カカポたちは野菜を集めました。
粉々にしちゃったにんじん
ブロッコリー。
きのこ。
さつまいも。
全部まとめて――
踏みました。
もふ。
もふ。
もふ。
三十羽のカカポが
台所で
まぜまぜしています。
ぐしゃ。
ぐしゃ。
ぐしゃ。
結果。
野菜は全部混ざりました。
床いっぱいに。
⸻
やがてーーー
リーナが帰ってきました。
「ただいまー」
家の扉を開けます。
そして。
止まりました。
台所。
そこには。
粉々にんじん。
ブロッコリーの森。
キャベツの葉。
きのこ。
さつまいも。
そして――
野菜まみれのカカポ三十羽。
ポポが言いました。
「ぐぽ」
ドンも言いました。
「ぐぽォ」
どうやら、
料理を作ったつもりです。
リーナは少し黙りました。
それから、
笑いました。
「……がんばったね」
カカポたちはうれしそう。
「ぐぽ!」
「ぐぽ!」
リーナはエプロンをつけました。
「じゃあ、この野菜でスープ作ろう」
カカポたちは集まりました。
今度はちゃんと見ています。
リーナは鍋に野菜を入れて、
ぐつぐつ煮ました。
やがて。
いい匂い。
カカポたちは並びます。
丸い行列。
スープを一口。
もぐ。
「ぐぽォォォ」
大成功。
台所はまだ散らかっています。
でも、
カカポたちはとても満足そう。
そしてその日、
リーナは決めました。
「明日は料理教室ね」
カカポたちは言いました。
「ぐぽ!」
でも――
本当に覚えたら、
台所はもっと大変になるかもしれません。




