2 仲間が増える
窓から入ってきた三羽のカカポは、部屋の中をきょろきょろ見回しました。
「ぐぽ?」
「ぐぽぐぽ?」
どうやら、いい匂いの出どころを探しているようです。
その視線の先には——
蒸しパン。
「やっぱりね」
リーナは笑いました。
「はい、どうぞ」
小さくちぎって渡します。
三羽のカカポは、それぞれ受け取ると——
ぱく。
もぐ。
もぐもぐ。
そして、
「ぐぽォォォ」
満足そうに目を細めました。
カカポたちの嬉しい声は、まるで小さな太鼓みたいにお腹の奥から響きます。
ぽん。
ぽん。
ぽん。
すると、元からいたカカポたちが近づいてきました。
「ぐぽ」
「ぐぽぐぽ」
新入りを囲んでいます。
カカポ同士の挨拶です。
鼻を近づけて、くんくん。
羽をちょっと広げて、ふるふる。
とても平和な会話。
リーナは蒸しパンをもう一つ食べながら言いました。
「これで十三羽かあ」
なかなかの大家族です。
蒸しパンはあっという間になくなりました。
ポポはお皿を見つめています。
「もうない?」
という顔です。
「うーん」
リーナは腕を組みました。
「じゃあ、お昼ごはん作ろうか」
その言葉を聞いた瞬間。
カカポたちが立ち上がりました。
「ぐぽ!」
「ぐぽ!」
「ぐぽォ!」
とても元気です。
⸻
今日のお昼ごはん。
リーナは冷蔵庫を開けました。
中にはいろいろあります。
にんじん
さつまいも
ブロッコリー
豆
きのこ
そして、大きな鍋。
「今日はスープだね」
カカポたちは料理をよく見ています。
ときどき手伝います。
ただし——
役に立つとは限りません。
まず、にんじん。
リーナがまな板に置いた瞬間。
ころ。
にんじんが消えました。
「……あれ?」
床を見ると、
マルがにんじんを抱えていました。
「マル、それまだ生」
「ぐぽ」
でも離しません。
仕方ないのでリーナは言いました。
「じゃあ少しだけ」
小さく切って渡すと、
カリカリカリ。
とてもいい音。
次はさつまいも。
これも人気です。
ポポとドンが、さつまいもを見つめています。
じーーー。
「はいはい」
リーナは少し蒸して渡しました。
カカポたちは、食べるときとても静かです。
もぐ
もぐ
もぐ
ただし。
食べ終わると、
ころん
転がります。
満足したカカポは、よく転がるのです。
キッチンの床は、転がるカカポでいっぱいになりました。
「みんな幸せそう」
リーナは笑いながら、鍋に野菜を入れました。
ぐつぐつ。
スープの匂いが広がります。
きのこを切っていると——
突然。
ぐぽォォォォォォォ
低くて長い声。
リーナが振り向くと、
ドンが鍋を見つめていました。
じーーーーーーー。
「まだだよ」
「ぐぽォ」
納得していません。
鍋に近づこうとします。
リーナはドンを抱き上げました。
ドンは5キロもあってずっしりしています。
「ドン、重いよ」
「ぐぽ」
でもドンは鍋を見続けます。
スープが完成しました。
野菜たっぷり。
ほくほく。
リーナは小さなお皿をたくさん並べました。
「順番ね」
カカポたちは並びます。
丸い列。
とても長い列。
一羽ずつスープを飲みます。
ふー。
ふー。
もぐ。
すると、新入りの一羽が驚いた顔をしました。
「ぐぽ!」
どうやらブロッコリーが気に入ったようです。
ブロッコリーだけ先に食べています。
ポポはきのこ担当。
ドンはさつまいも担当。
それぞれ好きなものがあるようです。
食べ終わるころには——
カカポたちはほとんど動きません。
床に座っています。
ころん。
ころん。
ころころ。
「食べすぎかな?」
リーナは笑いました。
⸻
窓から見える空がオレンジ色になってきました。
リーナはお茶を淹れました。
カカポたちは窓の近くで並んでいます。
夕焼けを見るのが好きなのです。
リーナは考えました。
「おやつ作ろうか」
カカポたちが振り向きます。
「ぐぽ?」
「ぐぽ!」
今日は簡単なもの。
バナナとオーツのクッキー。
ボウルに、
つぶしたバナナ
オーツ麦
はちみつ
少しだけナッツ
まぜまぜ。
ここで事件が起きました。
ポポが、ボウルに顔を入れました。
「ポポ!」
顔がバナナだらけです。
「ぐぽ」
満足そう。
他のカカポたちも興味津々。
リーナは急いで生地を丸めました。
オーブンへ。
しばらくすると——
甘い匂い。
とても甘い匂い。
カカポたちはオーブンの前に集合しました。
十羽以上のカカポが並んでいます。
じーーー。
じーーーーーー。
まるで会議です。
「もうすぐ」
チン。
クッキー完成。
少し冷ましてから配ります。
ぱく。
もぐ。
もぐもぐ。
静かな時間。
外では風が木を揺らしています。
家の中では、
カカポがころころ転がっています。
ポポはリーナの足の上で寝ました。
ドンはクッションの上。
新入りの三羽も、すっかりくつろいでいます。
リーナはカカポたちを見渡しました。
「今日はいっぱい食べたね」
「ぐぽ」
誰かが小さく答えました。
夜になると、
カカポたちは静かに丸くなります。
緑色の、ふわふわの団子みたい。
リーナはランプを少し暗くしました。
外では星が出ています。
「おやすみ、みんな」
「ぐぽ……」
小さな返事。
カカポの森の小さな家。
そこには、
おいしい匂いと、
たくさんのカカポと、
穏やかな時間がありました。
そして明日もきっと——
リーナはまた料理をします。
なぜなら、
カカポたちはいつも、
とてもお腹を空かせているからです。




