ーーEP4ーー
青。
ガードレール。
たまにサーフボードを積んだ車。
旅行感を出そうとする三人。
出ているのかどうかは分からない。
ケンジ
「これさ、俺ら今ちゃんと青春してない?」
星兄
「もう後半戦だろ」
三沢
「延長戦ですね」
また笑う。
車は海沿いを抜け、
最初の観光スポットへ向かう。
まだ空は明るい。
まだ事件は遠い。
今はただ、
無理矢理つくった旅行感に、
三人ともわりと満足している。
【10:26】
最初の観光スポット。
海が一望できる展望台。
駐車場はそこそこ埋まっている。
連休らしい景色。
三人で歩く。
特に会話はない。
でも退屈ではない。
展望台の端で、若いカップルが自撮りをしている。
何度も。
角度を変えて。
腕を伸ばして。
三沢が足を止める。
「撮りましょうか?」
自然な声。
低くて落ち着いている。
カップルが振り返る。
一瞬、三人を見る。
星兄。無表情。
ケンジ。ニコニコ。
三沢。体格がいい。
カップル
「あ、大丈夫です」
少し早口。
三沢
「……あ、そうですか」
三沢が戻る。
ケンジが小声で。
「圧あったな」
星兄
「お前が笑いすぎなんだよ」
ケンジ
「俺?」
三沢
「俺ですかね」
三人で小さく笑う。
カップルは距離を少しだけ広げて撮り続ける。
星兄
「俺ら、観光地で一番観光地っぽくないな」
ケンジ
「逆にレア枠だろ」
三沢
「被写体になりましょうか」
星兄
「誰が撮るんだよ」
海はきれい。
空も青い。
風はちょうどいい。
何も起きない。
ケンジが売店を見つける。
「ソフトクリームある」
星兄
「お前さっきも食ってただろ」
ケンジ
「旅行は乳脂肪分」
三沢
「名言みたいすね」
三人並んでソフトクリームを持つ。
溶ける前に食べる。
無言。
ただ平和。
星兄は遠くの水平線を見る。
「まあ、悪くないな」
ケンジ
「なにが」
星兄
「今日」
三沢がうなずく。
この時点で、
誰も疑っていない。
この平和が、
あと数時間で分解されることを。




