表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の見つけ方  作者: SHIRATORI TOSHIHIDE


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/35

ーーEP25ーー

視線が相沢へ向く。


「相沢さんは、女将さんの挨拶で登壇されるまで姿が見えませんでしたよね。その間は?」


ケンジが前のめりになる。


「あ、やっぱり!」


三沢が即座に制する。


「ケンさん、少し」


その一言で、ケンジは椅子に戻る。


相沢は、わずかに目を泳がせる。


「わ、私は舞台袖にいました。女将さんと段取りの打ち合わせをしていましたし……」


「それに、私は9時前には会場入りしています」


三沢はうなずく。


「分かりました。ありがとうございます。もう少し考えます」


沈黙。


強い雨音だけが、窓を叩いている。


星兄が低く呟く。


「女将さんが刀が無いことに気がついて、このロビーで僕らに声をかけたのが21時45分……約40分の空白か」


ふと顔を上げる。


「あれ、今何時だ?」


ロビーを見回す。


壁にも柱にも、時計はない。


女性客のひとりがスマートフォンを取り出す。


「22時50分ですよ」


「ありがとうございます。もう1時間以上経つのか……」


星兄は、ゆっくりと視線を巡らせる。


そして、止まる。


さっき、自分は何と言った?


“フロントの時計を見たら21時5分だった”


ロビーに、時計はない。


では。


女将は、どこで時刻を確認した?


雨音が一段強くなる。


誰も、すぐには口を開かない。


時間だけが、音もなくこちらを見ている。


星兄が、ゆっくりと女将を見る。


「女将さん。このロビー、時計はありませんよね?」


「はい、その通りです」


「では、どうやって21時5分を確認されたんですか? 急いでいる途中でフロントに入った?」


女将は首を振る。


「いえいえ。急いでいましたし、フロントには寄っておりません」


そして、柱を指さす。


「ちょうどあの鏡貼りの柱に、フロントの時計が映るんです」


一同の視線が集まる。


旅館特有の、装飾を兼ねた柱。

磨かれた鏡面が、光をやわらかく返している。


女将は再現するように歩き出す。

足取りは少し早い。


柱の手前で止まり、横を向く。


「ここです。ほら」


星兄が隣に立つ。


確かに、鏡の中にフロントの時計が反射している。


「ここで確認されたんですね。了解です」


星兄は柱から視線を外さないまま続ける。


「仮に。大広間から抜け、保管庫に入り、刀を持ち出し、どこかに隠し、何事もなかったように戻る。これを3分でやれれば……例えば相沢さんは可能ですね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ