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星の見つけ方  作者: SHIRATORI TOSHIHIDE


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19/35

真実を探すーーEP19ーー

女性三人組のうちのひとりが、声を震わせる。


「でも……もし犯人がこの中にいるなら、怖いです。ナイフとか持ってるかもしれないし……」


その言葉は、静かな湖面に落ちた石だった。


女将とスタッフが顔を見合わせる。

マジシャン相沢は無意識に自分のポケットへ視線を落とし、

男性ひとり客もわずかに身構える。


疑いは、空気より軽く、しかし重い。


その様子を、星兄たちは静かに眺めていた。

波に飲まれない岩のように。


やがて星兄が、穏やかな声で言う。


「そうですよね、心配になりますよね。では、少し間隔を空けて座りましょうか」


手でロビーの椅子の配置を示す。


「もし急に犯人が暴れても、距離があればなんとか対応の余地はあります」


女性客が眉をひそめる。


「……なんとかって?」


星兄は、三沢の肩をぽん、と軽く叩いた。


「ここに武将、兼、ボディーガードがいますから」


三沢は短く、


「ウス」


それだけ。


鎧は着ていないが、雰囲気だけは戦国仕様だ。


数人から小さな笑いが漏れる。

固まっていた空気が、ほんの少し柔らぐ。


椅子が動き、距離が生まれる。

距離ができると、不思議と視線が交差する。


全員が、全員を観察し始める。


山は静まり、通信は途絶え、刀は消えた。


そして今、

疑念が席についた。


犯人探しの幕が、静かに上がる。


椅子を少しずつ離し、輪のような形になった一同。

視線は交差し、しかし誰も口火を切らない。


星兄が、静かに言葉を置いた。


「整理しましょう。犯行は、21時5分以降。皆さんが広間に集まっていた時間帯です」


頷きがいくつか重なる。


「あの時間、ここにいる全員が同じ空間にいました。マジックショーを見て、料理を楽しみ、拍手をしていた」


相沢が軽く会釈する。

スタッフは控えめに背筋を伸ばす。


「互いに互いを、なんとなくでも目にしている状況だったはずです」


女性三人組のひとりが言う。


「私たち、ほとんどステージの前にいました。ずっと」


「写真も撮ってたしね」と別のひとり。


男性ひとり客も腕を組む。


「私は後方の席でしたが、確かに人の出入りは気になって見ていました。舞台袖から出入りがあれば分かる位置です」


スタッフの一人が続ける。


「私たちも料理の配膳や片付けで動いてはいましたが、広間の中だけです。外には出ていません」


女将もはっきりと言う。


「私は舞台横と客席を行き来しておりました。保管庫に戻ったのは、ショーの前です」


つまり。


全員が同じ箱の中にいた。

その箱には、出入りの気配がなかった。

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