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星の見つけ方  作者: SHIRATORI TOSHIHIDE


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18/35

ーーEP18ーー

21時5分。


その時間、全員が広間にいた。


つまり――


その場にいる誰にも、

動く余地はなかったはずだ。


ロビーは再び静まり返る。


「えっ? これ絶対不可能じゃん。」


ケンジが半ば笑いながら口にする。

怖さと興奮が、同じ皿に盛られている顔だ。


三沢も続く。


「そうですね。21時5分にはあった。今は21時42分……まぁ45分としても、約40分。その間、広間から誰も出ていないし、お互いそれを確認している」


腕を組み、斜め上を見つめる。


「完全犯罪じゃない? どんなトリックよ?」


ケンジは少し楽しそうだ。

事件をゲーム盤に置いた顔をしている。


星兄は、その間ずっと黙っていた。

指で顎を撫で、ゆっくりと言う。


「外部から……地元の人間が侵入した可能性は?」


なぜか三沢に向けて。


「なんで俺に聞くんすか」


三沢は眉をひそめつつも、すぐに女将とスタッフへ向き直る。


「外の土砂崩れって、本当に今さっきなんですか?」


スタッフが答える。


「連絡が入って道の状況が分かったのは、館内放送を入れた直前です。ただ……実際に崩れたのはもっと前かと思います」


空気が一段、沈む。


三沢は下を向き、ロビーをゆっくり歩き始める。

絨毯の上を、思考が擦れていく。


「……21時5分に刀があるのを確認しているなら、住民が来るのも無理ですね」


その言葉は、希望の扉を一枚閉めた。


すると、女性三人組のひとりが、また口を開く。


「警察呼んだ方が早くないですか?」


もっともだ。

全員が一瞬うなずきかける。


彼女はスマホを取り出し、画面を覗き込む。


そして。


「あ、無理かも」


その声は、今までで一番小さい。


夕方から不安定だった通信。

アンテナ表示は空白。

通話も、データも、沈黙。


外界との糸は、完全に断たれていた。


ロビーにいる全員が、同じ事実を理解する。


山に閉じ込められた。

刀は消えた。

時間はある。


出口は、ない。


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