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星の見つけ方  作者: SHIRATORI TOSHIHIDE


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14/35

困惑の時ーーEP14ーー

宿泊客たちがロビーを抜け、階段へ向かおうとしたとき。


奥の廊下から、足音。


女将だった。


先ほどまでの穏やかな顔ではない。

呼吸がわずかに早い。


「皆さま、申し訳ございません」


立ち止まる七人。


女将が言い淀んだ、そのとき。


食事中から何度も響く低い音。


遠雷とは違う。

地面の奥で何かが崩れるような、鈍い衝撃。

賑やかな会場ではここまで感じなかった。


全員が一瞬、黙る。


数秒後、館内放送が入る。

若い仲居の声だ。


「緊急のご連絡を申し上げます。先ほど自治体より連絡が入り、当館へ続く県道で小規模な土砂崩れが発生いたしました。現在、通行はできない状況でございます」


女性三人組がざわつく。


「え、帰れないってこと?」


男性客が落ち着いた声で言う。


「復旧は明朝でしょうか」


女将が深く頭を下げる。


「安全確認が取れるまで、外出は難しい状況でございます。皆さまにはご不便をおかけしますが、今夜は当館でお過ごしください」


雨は強まる。


外界は切り離された。


七人と宿だけが残る。


そして、女将は続ける。


「そのような状況で、大変申し上げにくいのですが……」


一拍。


「急にこのようなお話をするのは大変心苦しいのですが……実は、本来は登り口の資料館で展示されております、武将由来の刀を」


一瞬、間を置く。


「資料館の改装工事のため、現在こちらでお預かりしております」


初耳だ。


女性三人組が顔を見合わせる。


男性客が穏やかに尋ねる。


「それは、貴重なものですか?」


女将は頷く。


「地元ではよく知られた品でございます。通常は専用の展示ケースに収められておりますが、改装期間中のみ、当館の保管庫で厳重に管理しております」


声が、わずかに震える。


「その刀が……ただいま確認したところ、見当たらなくなっております」


沈黙。


雨音だけが遠くにある。

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