3:魔法ってこうやるんです
ハチョーとそりが合わない元気系の攻略対象 (たぶん)のプラウンと出会い、数日。
今度は委員会の方の見学をしたり、聖女らしいとされる部活動と委員会に正式に所属して活動してみたりすることで数人のイケメンとも追加で辺りもしたけど、特に大きなイベントと言うイベントもなく過ごせた。
残念ながら私好みのイケメンはいなかったけど、あきらめるにはまだ早い。
幸いなことに、勉強の成果が現れて聖女っぽいことが新しくできるようになったんだから。
それが何かといえば!
「おお。ついに光を出せるようになられましたか」
「おめでとうございます」
「頑張ったじゃねぇか。何も知らなかったにしては早い習得だし、流石は聖女様ってことか?」
なんと私、魔法が使えるようになりました!
いえ~い!ふぅぅぅ~~~~!!!これで私も立派な魔法使い!異世界文化を自分の体に落とし込むことに成功したんだから、もう怖い物はない!
これから聖女っぽい魔法を習得していってやるよぉぉぉ!!!
とは言っても、今回習得が完了した魔法は初歩も初歩。
光を出すことができる、と言うだけの物。しかも私の魔力操作だとかいうちょっとまだ私には難しい分野のところが甘いらしく、うっすら光るという程度でしかない。
まだ後光を刺すような感じで神々しかを出すには光量が足りないし、聖女として人々を照らすというには足りないものが多すぎる。
「お三方とも、練習にお付き合いいただきありがとうございました」
「いえいえ。聖女様のお役に立てたなら光栄です」
「聖女様がお力を使えるようになるというのは我々にとっても重要なことですので」
「そんな難しい物でもないし気にすんな」
まだまだ課題があることは確かだけど、とりあえず魔法の発動に成功したことは間違いないので練習に付き合ってくれていた人たちにお礼を言っておく。
私を召喚した人たちも当然サポートはしてくれていたわけだけど、実際成功した時に手伝ってくれていたのは3人。
王子とそのお友達のハチョーとプラウン。
ハチョーは兎も角なんで他の2人が練習に付き合ってくれるのかは分からないけど、実際3人からのアドバイスは悪くなかった。
ハチョーは頭脳派らしく理論的な補強をしてくれたし、王子は感覚的なイメージの話をしてくれた。プラウンは魔法が苦手らしく、だからこそその苦手な立場でもどうにか魔法を発動できるために必要なものを伝えてくれた。
3人のすべてが成功には欠かせない物だったし、しっかり感謝はしている。
ただ、感謝はしているんだけど、
「これが私の力、というわけです。私は教育者を目指してもいいかもしれませんね?」
「はぁ?お前の説明は分かりにくいだろうが。俺の教え方が上手かったんだろ」
ちょっと時間があるとハチョーとプラウンがすぐにバチバチする。
勉強のことに手中している間は問題ないんだけど、気を抜くとこうなっちゃうのが困り所。
ただこうなることは前から分かっていたし私としては面倒事を避けるためにも一緒にいる機会と言うものができないようにしていたはずなんだけど、なぜか王子と3人一緒に近づいて来るから必然的に巻き込まれることになる。
私がこの喧嘩に参加することになるというわけではないけど、周囲に人がいると私も一緒に冷たい目を向けられるし2人の意見のどちらに賛成するのかと立場の表明を求められることもある。
ただ大概はそれが起きると、
「まあまあ2人とも落ち着いて。そんなところで争わないでよ」
「殿下…………」
「プロゲル。そういってもよぉ………」
王子が仲裁に入る。
さすがに王子の言葉を無下にすることもできないようで、一旦はこれで解決する。だから、2人で来られるよりは王子もセットの3人で来てくれる方が断然マシ。
なんだけど、
「私が1番教え方が上手くて、2人はその次で同じくらいってことで良いじゃないか。ハチョーのできる側の意見もプラウンのできない側の意見も、聖女様には参考になる意見だったはずだよ」
「「お前は黙ってろ」」
「なんで!?」
よく余計なことを言うせいで再燃させてしまったりもする。
では、こうなると先の展開がどうなるのか察しが良い人ならわかるよね?
そう。王子が何も言えない状態だから、
「聖女様はどう思われますか?」
「俺の方が上手かったよな?」
私の意見が求められる。
本当に面倒だけど、王子の手も借りられないから今度こそ私が動くしかない。
ただ、当然ながらここではっきりとどちらが分かりにくかったなんてことを言ってしまえば角が立つ。
間違いなくどちらかの好感度が上がってどちらかが下がるし、私の調整が上手くいかなくなり変えない。
変に新しいイベントに巻き込まれても面倒だから、
「申し訳ありません。覚える方に必死でどの方のものが1番参考になったなどはそこまで意識しておらず」
「ふむ。それもそうですか」
「チェッ。この頭でっかち眼鏡にどっちが上か教えてやるチャンスだったんだけどな」
「は?何ですか、でっかちにできる頭もない筋肉ダルマが。聖女様が勉強だけに必死になったことで自分が助かったことに気づいてないんですか?」
「おぉ?硬すぎてろくに動きもしない頭は現実すら素直に受け止めれないのか?」
私が知らないと言えば2人のあおりがより激しくなる。
私への影響は少なく済んだけど、これが周りにいるのは辛い。
いい加減勉強はこの2人の関わらないところでやって、学校では部活や委員会の活動に集中しようかな?
と、考えていたんだけど、
「2人とも、どっちが上か決めたいならそれぞれ違う魔法を聖女様に教えてみたらどうかな?難易度が同じくらいの魔法を教えて、先に習得させられた方が勝ちってことで」
「良いですね。殿下。その意見を採用させていただきます」
「たまにはいい子というなプロゲル。今度こそ上下ってものをはっきり教えてやるよ」
余計なことを言うなこの空気読めない王子がぁぁぁ!!!!
実験台にさせられる私の身にもなってくれるかな!?
あと、2人の勝負と言う話だけどなんだか王子も一緒に私に別の魔法を教えようとしてない?3人で勝負するつもりなの?余計に私にかかる負担が増えるんだけど?
「ふむ。ではまず、歴代の聖女様などの記録を読んでどの魔法が同程度の難易度なのかを調べましょうか」
私は全力で拒否したいけど、3人とも乗り気でそんなことを言える雰囲気ではない。
それに、たぶんここで断ったとしてもどうせまた後で別の勝負事に巻き込まれるだけだと思う。他のどうでもいいことに巻き込まれるよりは魔法を習得できる方が役に立つし、しっかり管理しつつ競わせることにしよう。
もし誰かの教える魔法の進捗が遅いという事になったら、その魔法の事を自習で調べたりしたらだいたい同じくらいには持って行けるはず!!
…………と、思ったけど正直そんなこと今はどうでもよくなってしまっている。
なんでかって?
それはもちろん!
「過去の聖女の記録があるんですか?それは私も見てみてもいいでしょうか?」
「ええ。ご興味がおありですか?」
「それなら、俺の知ってる五和なんかも教えてやるよ」
私ではないいままでに居た聖女の事を知れるらしいからだよ!
今まで思いつきもしなかったけど、聖女が何たるかを知るにはそれが1番手っ取り早い!その人たちと同じことをすれば聖女として問題ないという判断をされるはずだし、それが学ぶことは非常に大切!
待ってろ記録書!
私が聖女とは何たるかを学んでやるんだから!!




