35.私だけ無害
いや~、楽しいね。
屑王子含め、あんなに威張っていた人たちが何もできずに権力を奪われるのはとても見ていて楽しい!あんまり聖女としては良くない感情だと思うけど、やっぱり内心の俗なところが喜んじゃうね。
今回の世界ではしっかりざまぁもできたし、まさしく原作展開かな?
ただ、権力を奪って終わりとするのも正直微妙な部分はあると思う。
欲を出し過ぎているかもしれないけどこのままだとどうせ他国にかくまわれて隙を見てまた戻ってくるようになってしまうと思うし、
「どうされますか?必要でしたら力もいただいてしまいますが」
「あら。よろしくて?」
「そこまでして問題ないのか?」
「ええ。命を奪うわけでもないですし、それで余計な被害が増えないのであれば構いませんよ」
私は魔王と推定主人公さんに力を奪う提案をさせてもらった。
当然ながら、その奪う対象となるのは屑王子など今回の件でとらえられた人達。
血が関係しているのかは分からにけど力だけはそれなりにある人が多くて、この力を外に持ち出されても面倒であることは間違いないと思うんだよね。
「聖女様!何を言っているのですか!?」
「そんなこと許されるはずがありません!」
「おやめください聖女様!あのような愚民たちのために我々高貴なモノの力を奪うなど誤った選択ですぞ」
「そうかもしれませんね。しかし、聖女は多くの人を救うためにおりますので。貴族の皆様は数人しかおりませんし、魔族が代わりに上に立つのであれば問題ないだろうと判断しました」
「そ、そんな!?」
「せ、聖女様は洗脳されているんだ!」
「お考え直し下さい!聖女様は騙されているんです!」
当然ながら貴族や王族からの抗議が飛んでくるけど、そんなものを気にする必要なんてない。幸い洗脳だとか騙されているとか考えてくれているようだし、放っておいても私にはそこまで害はないだろうね。
何かあるとしても、まずは推定主人公さんとか魔王とかに火の粉はふりかかるんじゃないかな?
「では力を頂いて行きますね~」
抗議の声にいちいち答えていてもきりがないため、早々に力は奪わせてもらう。
これまで鍛えてきた中である程度力の吸い方は覚えたから、全員から同時に力を吸っていくことも可能。ついでに本当なら一瞬で気絶させてしまうほどの奪い方もできるんだけど、あえて今回はじわじわとそれなりの痛みが継続して襲ってくる方法を選択。
あちこちから悲鳴が上がり、今までそこまでの事はなかったんだけど今回はいろんなものが体がら溢れてきて床に汚れが広がり臭いも少し不快なものが出てきてしまった。
私の周囲だけ浄化系の魔法を使って臭い消しをしておこうかな。
「すべて集めるとそれなりの量にはなりますね。これがすべてまとまって攻撃に使われたら簡易的な私の結界では砕かれていたかもしれませんね」
「ほぅ?では、先ほどまで使っていた結界ならばどうだ?」
「あれならば問題ないかと。魔王さんの自爆以上の力は出せないでしょうから」
「ふん。所詮はその程度か」
私が自分だけ臭いの被害をなくしていることをバレないため、そしてバレたとしても追及されるような状況を作らにタメに適当な話題を出しておく。
もちろん嘘をついているわけではなく、大事かどうか微妙なラインの話で他の人達も話題を広げやすい物にはしておいたよ。
ある程度それでみんなが話してくれて時間は稼げるし、もし話が出尽くしても私が進めて行けるようにもしてあって、
「そういえば、力はお返ししておきますか?どのタイミングでお返ししたほうがいいなどありましたらそれに従いますが」
「私は必要ありませんね。聖女様から頂いた力が使い続けられるのであればこちらで十分です」
「そうですか?それではできることの幅が狭いような気がしてしまいますけど。もちろん、私がもし命を落としたとしてもその力は使い続けられるようにはしてあるので無くなることはないですけど」
「本当ですか?それならば問題ありません。幅は狭くても、深みが違いますから」
全員から完全に力を奪っているし、どこかのタイミングで返した方がいいのではないかとお考えていた。それこそ推定主人公さんなんて聖女として召喚された私を超えるくらいには力があったし、失うにはあまりにも惜しい物だったと思うの。
だというのに、あっさりと私の力の返還は断られた。できることの幅は狭くどれだけ鍛えても特に成長もしないというのに、私が駆けたバフだけで十分という事らしい。
私が不思議に思っていると、
「実を言えば、力を持っていることは必ずしもメリットとなるの訳でもないのですわ。聖女様になると話は変わりますが、基本その力の属性などによって相性があるのです。場合によっては、それこそ以前の私のような大きな力を持っている場合には即死させられてしまうような可能性もあるのです」
「特に我々魔族はそうした領分の魔法などには詳しいぞ。だからこそ恐れられているわけだが」
魔王の補足に私は戦慄する。
どうやら魔族と言うのはこの世界に置いて予想以上に驚異的な力を持っていたらしい。元々のスペックが高いから弱い人間が大量に集まっても勝ち目は薄いのに、強い人を用意しても結局簡単に倒されてしまうというのは悪夢以外の何でもないと思う。
推定主人公さんによれば聖女はそこまで簡単に倒せる相手と言うわけでもないようだけど、それでもそんな魔族が大量に居たとすれば聖女でも守る数には限界があるね。多分敵対してたら私の味方した陣営はかなり手痛い被害を受けていたんじゃないかな?
国を切り捨てる判断をできてよかった~。
と、安心したところで大方の力の吸収は完了した。
周囲には視るに堪えない醜態をさらした貴族や王族などが転がっている。
それなりの人数だったから私の力もかなり増えていて、今ならさらにできることを増やせたと思う…………元々それなりに力はあったから、できることの規模が大きすぎてあんまり変化の意味はない気もするけどね。
と、思っていたら、
「さて。では、いっそのこと隣国も手中に収めるか?」
「そうですね。恨みはありませんが、魔族が上に立つというなら将来的に争うことになるでしょうからね」
なんだか物騒な話が始まってるんだけど!?




