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26:よくいるタイプの腹心

どうやら私の届けたものはしっかりと発見してもらえたみたい。

追放された元役人さんが持っていた食料の中に、実は私が仕込みをしておいたんだよね。バレないようにすることを優先したから入れられたものはメッセージカードと種だけだったけど、それでも十分なはず。


メッセージカードには、私のかけたバフに関する詳しい事と主な貴族の動きを私が聞いた範囲で書き留めて置いた。もちろん私には綺麗な部分しか聞かされていないから2人にはたいして重要ではに情報かもしれないけど、それでも伝えないよりはマシと言う思いでの行動。


「バフの説明だけでも良かったかもしれないけどねぇ。多分気付いてないような効果もあると思うし」


個人的には最良の形ではないような気もするけど、一旦それは置いておいて今度は種の説明をしようかな。

種は、前の世界でお友達の1人から貰ったものの1つ。ある程度数は増やしてあるから人に渡すことに問題はないんだけど、実をいうと前の世界でもらう時にむやみにばらまいたりしないようにって言われてたんだよね。

別に今回はむやみに、と言うわけではないんだけど友達から注意を受けていただけにすこし後ろめたさもある。もちろん、今更返してほしいなんて言う気はないけどさ。


どんな植物の種なのかと言うと、もちろん危険だから毒があるものの類ではない。

目的は食料が安定的に得られるようにすることで、かなり長い期間成長すると身を定期的につけてくれるようなものとなっている。

さすがに1日で実を作るるまではなってくれないけど、1週間もすれば数はそこまで多くないだろうけど供給をしてくれると思うんだよね。


「さすがにあの森がどういう土壌なのかとかまでは分からなかったから、ちゃんと育ってくれるかは不安だなぁ」


いくら厳選した種とはいえど、さすがにどんな環境でも育つほどの力があるわけでもない。さすがに森という事で栄養分は豊富だとは思うんだけど、他の植物に負けたり土壌がそもそも合わなかったりする可能性を考えると育たないかもしれないという心配もある。


とは言っても、そんな心配をしていても私がここからどうにかすることは不可能。おとなしく結果だけ見ていようと思う。次に生かす材料にでもできればそれでいいかな。

私が直接行けるのなら魔法をかけてさっさと成長させられるんだけどな~。

さすがにそれは難しいし、データを取らせてもらってこの後の参考にさせてもらうとしよう。できるのならどうにかしてももっと力とか付けてもらって食糧なんて気にしなくてもいいようにこっちの国に攻め込んできてほしいところではあるけど。


「さすがに私のバフを持っている人が2人いるだけだとどうにもならによねぇ」


この世界で強い人と言うのがどれほどの力を持っているか分からないし、私が強化したとはいえ2人だけで国を亡ぼせるほど簡単な世界ではないと思う。

まだ推定主人公さんがやってくるには時間がかかりそうだね。


そう思った私は、明日からまた聖女としての仕事があるという事で眠るために観察を終了する。そしてそのまま瞳を閉じた。

だからこそ、気づけない。

私が観察していた2人が向かう先に。

魔族がいるとされる森の、推定主人公さんの拠点に。そして、森で生活しているにしては随分と推定主人公さんの服装が奇麗だった理由に。


代わりに私が気づくのは、


「聖女様。それではこの者にも罰を与えて下さると」


「また重い罪を犯された方がいたのですか?」


「ええ。それはそれは多くの物を苦しめるようなものがいたのです。この者に力を持たせていては世界が危険なのです!」


私が便利な力を奪う道具として見られているという事。

元役人さんの力を奪ってから、連日同じような仕事をさせられることになってしまったの。私に力を奪わせてその後森に放り出せば何も悪い影響はないと考えてしまったんだろうね。

実際、今のところ追放した人たちが森の外に出て何かするという事もないからその考え自体は間違ってないのかもしれない。

もちろん、長期的に観た場合にはどうなるか分かったものではないけどね。


こうして私が力を奪い人が追放されていくことで、どんどん王子などにとって都合の悪い人間が減っていく。

そしてどんどんこの国は腐敗し、王子の周囲はひどいことになっていく。きれいな女の人達が時に進んで、時に無理やり連れて来られ、王子はそれらと遊びつくし、その裏で貴族がそれぞれ支援して女の人たちにドロドロな争いを繰り広げさせる。

当然私を巻き込もうとするような人もいて、私はただただそれに関わらないように、そして時には言いがかりを無理矢理つけて王子の相手を絶対にしたくないという子を追放処分にさせるようなこともした。


「最近やってることがどんどん聖女っぽくなくなってきてしまっている気がするぅ」


頭は抱えることになったけど、それでも推定主人公さんサイドには媚びを売れていると思う。私が支援をして植物を送り込んだり情報を送ったりしているし、人員も強化してあるからね。

2人だけだから国を亡ぼすのは難しいと思ってたけど、もうかなりの数になったし国と事を構えることも可能になっているかもしれない。


ただ、私が同じ強化しかできないから仕方のない事ではあるんだけど同じような能力の人しかいないため、幅の薄さと言う弱点はどうしても感じてしまう。

と思っていたところで、


「聖女様。本日の極悪人は、最初に聖女様に罰を与えていただいた愚か者を崇拝する人間なのです」


「そうなのですか?あの、殿下の元婚約者の?」


「そうなのです…………ですので、もしかすると聖女様にご不快な言葉を投げかけてくるかもしれませんが」


「分かりました。もとより罪人を相手にするのです。そのくらいの覚悟はできております」


なんだがいい人が来てくれた気がする。

元主人への忠誠度が高いタイプの人って物語でも出てきがちだからね。たいていは一緒に追放先まで行くようなイメージがあるけど、何か展開がずれるようなことでもあったのかな?


疑問に思いながらも少しワクワクしながら会いに行ってみれば、


「あなたが頭ゆる○○○○○○○○(ピーーーーーーー)のクソビッ○○○○(ピーー)聖女ですね!!」


「ふふっ。元気な方ですね」


いきなり放送禁止用語が連発されることとなった。

本当に推定主人公さんに対する気持ちが大きく私に恨みを持っているみたいだね。こっちの世界に来てから、というか前の世界や元の世界でもここまでの暴言は吐かれたことがなかったからなんだか新鮮だよ。

聖女ってこういう恨みとかを持たれていたとしても直接向けられる機会が少ないからね。


そんな暴言の主は、使用人っぽい女の人。

所謂メイドってやつかな?


「この大罪人が!余計な口を開くな!!」


「ガハッ!?」


王子がそんな使用人さんに暴力をふるう。

両手両足縛られている状態だから、王子も恐れることなく暴力に訴えられているね。弱い相手には近づくという実に分かりやすい屑っぷり。


「まあまあ。私は気にしませんので構いませんよ。それよりも、この方はどうしますか?」


「ん?どうするとおっしゃいますと?」


「力を押収してしまうのかどうか、という事です。視たところたいして力がるようにも見えませんし、追放するのでしたらわざわざ力を吸収する必要性も感じませんが」


「へ?」


丁度いい機会なので、ここで私は少し踏み込んで仕掛けてみることにした。

上手くいけば、森に集まっている陣営の人材の幅を少し厚くできるかもね。

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