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21:早速敵対!?

なぜか分からにけど人生2度目の異世界召喚を経験してしまった。

しかもまた、今回もものすごくざまぁされるのにちょうどいいポジション。権力があるのは良いけど、人から恨まれそうなのは嫌だよぉ。ざまぁされた後に改心したり更生したりして幸せになれるタイプならまだいいけど、普通にひどい目に合うパターンもあるから勘弁してほしい。


ただ、とりあえず何をするにしても今この場で私を召喚した人たちに刃向かうのは良くないと思う。

大罪人だと言われている推定主人公の元公爵令嬢さんには悪いけど、完全には味方になりきれないくらいの丁度いいバランスで行けるように探らせてもらおう。


「それで、罰を与えるというのはどういうことなのでしょう?私に何かをする力はないのですけど」


「ご安心ください。あなたは聖女となり神から力を授かったのです。今すぐにでもその力をふるうことが可能でしょう」


「本当ですか?」


まず私が罰を与えるという事になっているので何をしたらいいのかと尋ねてみれば、(たぶん)屑王子が説明役を申し出てくれた。

前の世界では練習が必要だったけど、こっちではそうではないという認識みたいだね。前の世界の努力の経験があるから少し不安だけど、できるというのだからやってみないと。

ここで変に躊躇して弱気な聖女と言う認識をされても困るからね。


王子の説明は分かりにくかったので少し簡単に言わせてもらうと、どうやら神とされる存在から人間は皆力をそれぞれ与えられていて、聖女にはそうした力を操る能力があるらしい。

操るというのは自分の持っている力を上手く使うとかそういう話ではなく、他の人の力を強化したり、逆に他人から奪ったり。

そういう事までできてしまうらしい。

そこまで言われたら私の求めていることは理解できると思うんだけど、


「あのた人から、神の力を全て奪っていただきたい。もちろんそれは、聖女様のものとして頂いてかまいません。何よりもまずは、あの大罪人に力を持たせている現状を解決していただきたいのです」


「な、なるほど。ではやってみますね」


恐ろし~!人の力を奪える能力って何!?平然とそんなこと言ってるけど、本当にそんなことやっちゃっていいの!?話しぶりから考えると、こんなことをできるのなんて聖女の私くらいなんだよね!?たとえ犯罪者相手だとしても相当重い処分なんじゃない!?


でも、やるしかないよね。権力者にやれと言われたらやるのが私だよ!

もちろん表向き従うだけだけど、


「では、そのお力を頂きますね」


「っ!?グゥゥ!!」


推定主人公さんの唸り声。どうやらうまくいったようで、力を奪えているっぽい。

なんだか私の力が逆にあふれているような気すらするから、奪い取るという表現が本当に性格なんだろうね。こんなに簡単に人の力が奪えちゃうなんて恐ろしいけど、一旦聖女とはそういうものだと思って納得しておこう。


それよりも少しずつ吸い取る力の感覚を掴んでいく。

やろうと思えばすんなりできる事ではあるんだけど、だからと言ってそれで満足するわけにもいかない。私がこれから先に敵対ルートから外れるにしても逃げられないにしても、力の使い方が上手くなっていてより効率よく使用できるような除隊であるという事は大切なはずだから。


「ガァ!?」


「大罪人め。せいぜいその罰で苦しむと言い」

「自分の犯した罪の重さを知れ!」

「聖女様!そのまますべて力を消し去ってしまってください!!」


苦しむ推定主人公ちゃんに、周囲からヤジが飛ぶ。

そしてそのたび私は申し訳ない気持ちになってくるよ。本当に苦しませてごめんね~。というか、力をもらってる私は特に何も感じないのに抜かれてるほうだけ苦しそうなのが更に罪悪感を煽ってくる。

何で受け入れる方は痛みがないんだろうね?


しばらくすると推定主人公ちゃんは床に膝をつき、そして倒れ伏す。

そのたびに心が痛くなっていくけど、周囲がまだやれって言うから止められないよ~。

仕方ないから本当にもう身動きもほとんど取れないというような状態にまでさせてもらった後で、


「もう近づいても大丈夫でしょうか?距離によって力の吸い取り方が違うのか試してみたいのですが」


「ふむ。もうほとんど力は感じませんので、よろしいのではないでしょうか?」


屑王子に指定主人公さんへと近づく許可を取り、側に寄らせてもらう。推定主人公さんはそんな私の様子を険しい顔をしながら、そして苦しみつつもどうにか顔を上げて見つめてきて、


「あなたの持っていた力とは別種ですが、新しい力をお貸ししますね。これがあれば生きていくだけなら問題ないはずです」


「え?」


「あなたの幸福をお祈りしております」


こそっと。本当に周囲には聞かれないようにギリギリの声量で、それこそ私が言葉を発しているとはあまり認識されないのではないかと言うくらいの声量で推定主人公さんにだけ伝わるようにする。

驚いた様子で顔を上げられたけど、こうして反応されると何か言ったのではないかって思われてしまうから困るね。

バレないように、力の吸い取り方に何かあったと思われそうな行動でもとっておこう。


ということで、最後の方に残っている力も全部いただいてしまおう。


「ギャァァァ!!??」


推定主人公ちゃんは最後の絶叫を上げてそのままぱたりと顔を地面につけて気絶した。

どうしよう。やっちゃった感がハンパない。一応前の世界で使えるようになった強化系の魔法で1番強くて効果が半永久的に続くものをかけておいたから襲われても多少はどうにかできると思うけど、ここまでの苦痛を与えたとなるとそれ絵でも恐ろしいよ。普通に敵対ルートに入っちゃうような行動じゃん。

もうちょっと痛みの少ない方法がなかったかと思ってしまうよ…………。


いや、そんなことを考えても仕方がないかな。

召喚されたばっかりで力の使い方だってよく分からない中だったんだから、かなり頑張った方だと思う。切り替えて、次にもし何かあった時に対処できるよう鍛えておこう!

結局この世界でもガリ勉になるのかってところではあるけど命には代えられないよね。


「おそらく力はすべて取り払えたと思いますが、どうでしょうか?」


「確かに何も感じませんね」

「さすがは聖女様。素晴らしいお力ですな」

「これで大罪人が災いをもたらすようなことはもうないでしょう。聖女様に感謝を」


どうやら、とりあえず私のお仕事はこれで完了という事でいいらしい。

大きな問題は残してしまったけど、一旦は平穏を勝ち取れたと考えよう。ここで国に逆らって大変なことになるよりはいいよね。


ただ、あんまり推定主人公さんの扱いが悪くなっても問題だから多少は確認をしておいて、


「この方はどうなるのでしょう?かなり苦しまれた様子ですし、もう罪は償ったという事になるのでしょうか?」


「いえ。残念ながらこれではまだ半分程度しか罪を清算できたとは言えません。この後は、恐ろしい魔族がいるとされる森へ追放することになります」


「そうなのですか?それはかわいそう…………でも、それだけ悪いことをされたという事なんですよね?」


「その通りです。多くの民を苦しめ、いたぶり、そして死へと追いやった。この大罪人に対しては温情が多いと言ってもいいほどの措置です」


「そうなのですか…………せめて、平穏な最期が遅れることを祈っておきます」


うわぁ~。出た。

危険な森への追放ってよく聞くお決まりの流れだよ。より推定主人公さんの主人公っぽさが溢れちゃったじゃん。この屑王子、数年後には命を落とすことになってるかもね。もしくは、ひたすら拷問されることになるかもしれない。


ただ、せめてもの救いは追放処分になるだけという事かな?

色々とひどいことをされた後に追放と言うパターンではなさそうだからまだ心と体の傷は少ない…………はず。

一応、定期的な監視作業をすると申し出ておこう。難色は示されたけど、


「私にも力を使ったものとしての責任があります。もしすべての力を取り切れておらず、その力でまたあの方が罪を増やすというのなら私が止める責任があります」


とか言っておけば向こうも不承不承と言ったところではあるけど頷いてくれた。

暫くはそうした監視作業で寝不足にもなるかなとは思ったんだけど、追放は予想以上にハイペースで実行されて、その日の夜になる前にはもう馬車に積み込まれたまま推定主人公ちゃんはこの国から去っていくことになった。

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